ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 サントリーニ レッドビーチ ギリシャの旅11

レッドビーチへの行程

レッドビーチはアクロティリ遺跡から徒歩15分ほどで行けるらしい。アクロティリ遺跡を背にして、道は3方向に分かれている:左へ下る道(ビーチが見える)、道路を渡ってまっすぐ前へ進む道、右へ上がる道(フィラ方面へ戻る)。

遺跡の窓口の女性に尋ねると、「道路を渡ってまっすぐよ」と教えてくれた。

エフハリスト!(ありがとう!)

礼を言って歩き始める。すぐに大きな青い看板が道路の左側に現れ、レッドビーチはこの道をまっすぐと、矢印があった。

わたしは、太陽の熱線が容赦なく降り注ぐ、真昼の光輝く道を、ジリジリと焼かれながら歩いた。さえぎるものは、何一つない。しかも・・・

誰もいない・・・

そうだよねぇ!! 誰もこんな暑い中、わざわざ歩きに出てこないよねぇー!!🔥

わたしは、余計に体力を消耗しないように歩いた。車さえ走ってこない。静かだ。と、前から2台のバギー(?)に分乗した白人の若者たちとすれ違った。みんな楽しそうだ。

そうか、あんな乗り物があったのか!

スピードは出せそうにないが、ちょっとした遠出になら良さそう。窓ガラスや車体の壁はついていないが、4つの強靭そうな太いタイヤがついている。

わたしはフィラのAgiou Athanasiou通りで、バギーのレンタル屋があり、白人の女の子が試乗していたのを思い出した。

あー、あれかぁ!

しかし、あれに乗るには国際免許がいるのかどうか、また運転技術的にはどうなのか、また故障や事故があった場合は・・・うーん、やっぱりわたしには、徒歩や公共バスが向いているかな、と思った。

すると、さらに前からもう一台バギーが来る。白人の若者二人。彼らを見送った後、辺りに再び静寂が戻った。

ギロピタで腹ごしらえ

しばらく行くと、道の右側に小さな店があった。イスとテーブルが置かれ、軽食だが腹ごしらえできそうだ。ガイドブックには、ビーチに売店があると書いてあったが、ここでゆっくり座って休憩するのが妥当と判断。ギロピタが食べられるのも良い機会だ。

店は「海の家」を思い起こさせた。注文窓口にはおばあちゃんがいる。3種類の肉があり、チキン、ポーク、ケバブの中から好きなものを選ぶ。しばらくすると呼ばれるので、注文したギロピタを受け取り、パラソル下のテーブルで食べることができる。セルフサービスだ。

注文窓口の奥では若い夫婦が注文を受け、ギロピタを作っている。家族経営のようだ。恐らく季節限定で店を開いているのだろう。

わたしは何となくケバブを選び、ファンタオレンジを購入。手渡されたギロピタは、薄いトルティージャの皮みたいなパンに、ポテト、トマト、肉、玉ねぎ、ザジキ(*キュウリ、ヨーグルト、オリーブオイル、ニンニク、塩、ハーブなどで作られたソース)が入っている。それらはほどけないようにペーパーに巻かれている。

”きっちり”と巻かれたギロピタに、作り手の誠実さや心づかいを感じた。これがゆるいとボロボロ具が落ちて食べにくいことだろう。

ギロピタ

 

先客は数名いたが、ゆっくり休憩しているとさらにアジア人の若者が一人来た。おばあちゃんが肉を選んでと言っているが、なかなか伝わらないようだ。それでも、なんとかギロピタは買えたよう。日本人なら話しかけてみようかと思ったが、違うようだ。

レッドビーチの光景

エネルギー補給後、たっぷり休んだわたしは、再びまっすぐな道を歩き出した。しばらくすると、右側に断崖が現れ、赤茶けた岩が見えてきた。

だいぶ、近づいたみたい♪

足が思わず軽くなる。さらに歩くと白い小さな教会があり、近くに駐車場があった。やっとここまで来て観光客にも出会えた。冷たい飲み物や果物を売っている移動販売の車も停まっている。

サントリーニ島 レッドビーチはもうすぐ 教会と移動販売車

 

どんどん進んでいくと、海に突き当たる。180度、目の前に海が広がる。(下の写真は2枚の写真をつなげています。いびつな部分はご勘弁を)

サントリーニ島 さらに右奥へすすむとレッドビーチ

 

この辺の岩はまだ赤くはない。さらに海を左に見ながら、右奥へと進む。すると、大きくえぐれた赤い断崖が現れる。大きな岩がゴロゴロしていて、その奥にわずかに見える細長い砂浜で、人々が海水浴をしている。(冒頭写真です)

わ、あれがレッドビーチか!

ビーチのすぐ後ろには断崖がせまっている。すごい光景だ。そして、何より美しいのが・・・

赤と青のコントラスト・・・

晴れ渡ったこの日に、この目でレッドビーチを見れたのはラッキーだ。

さあ、浜辺へ降りてみよう

さらに、浜辺まで行ってみようと思い、まず断崖を道に沿って登った。(浜辺に降りるには大きなゴロゴロした岩を大きく迂回してから下る必要がある)

サントリーニ島 レッドビーチへ

 

道といっても、舗装されているわけではない。土がむき出しになっている。どんどん登る。けっこう急な坂道で運動靴で良かったと思う。とりあえず、上まで登れば、浜辺へ下る道になるわけだが、ここはスリル満点だった。

柵のない、断崖の小道が現れ、気持ちを引き締めて一歩一歩足を踏み出す。右側には”もろそう”で、今にも崩れそうな赤茶の岩壁がせまってくる。左には、青い青い美しい海が眼下にせまってくる。道幅がせまくなっている場所もあった。気が抜けない。

(下の写真:せまる岩壁に細い小道が続いている)

サントリーニ島 レッドビーチへ

 

「恐いけど美しい。美しいけど、恐い。」緊張しながらも、一方ではレッドビーチの光景に目を奪われながらの道中だった。

坂道が終わるとゴロゴロ岩が待っている。岩を乗り越えて浜辺へ行かなくてはならない。とりあえず、補助的な階段や踏み板はついている。が、ここで写真を撮る余裕はない。時には自分で足の踏み場を探して「えいっ!」と岩を登らなくてはならない。そして・・・

浜辺へ到着! やったー!!

砂は黒っぽい。手に取ってみると、赤茶の粒と黒い粒が混ざっている。黒い粒をよーく見てみると、なんと表面に細かい穴がたくさん開いている。

軽石だ!

シーフード

わたしは、手頃な軽石を探そうと砂浜を見回した。すると、浜辺入り口の大岩の辺りで、二人の若い女性が楽しそうに騒いでいる。

何してるんだろう?

見ていると、大岩まで行って波しぶきをよけきれず、「キャー(笑)!」「ハッハッハ!」と遊んでいる。その様子が面白くて、しばらく見ていると、女性の一人が近づいてきて「わたしたち、これ採ってるの!」と話しかけてきた。

ん?

目を凝らして見てみると、彼女の手のひらにはフジツボのような生き物がいた。岩にくっついている生物で殻の部分は石のように固いが、裏返して岩に貼り付いている面を見てみると、貝の中身のような柔らかい部分が見えた。

そして、彼女はわたしの目の前で、それをパクっと食べてみせた。「これ、めちゃくちゃ美味しいんだよ!まさに海の幸、シーフード!!」とにっこり笑った。

へぇー!

その付近の、波のしぶきが覆いかぶさる岩を見てみると、確かにそのフジツボのようなのが、数個はりついていた。

岩からはがすだけでも大変だろうが、波のしぶきがけっこう来るので勇気がいる。それでも彼女たちが採りに来るのは、そうとう美味なのだろう。

彼女たちは近くに住んでいると言う。地元の人たちのささやかな楽しみなのだ。

エフハリスト!(ありがとう!)

いろいろ教えてもらったお礼を言って、わたしは歩き出した。

浜辺の様子

場所により差はあるが、砂浜の幅は20メートルあるだろうか。迫りくる崖、赤い岩、ビーチに行くまでの行程、軽石の砂浜・・・いろいろな意味で特殊でユニークな場所だ。感慨にふけり歩いていると・・・

わっ、岩壁にドアが付いている・・・!

奇妙なものを見つけた。

サントリーニ島 レッドビーチ

 

なにこれ?!

さらに、岩壁に掘られたお店跡(バーの跡?)も見つけた。カウンターやガラスケースの残骸があった。冷たい飲みものやお酒、スナックぐらいは売っていたのだろう。ハイシーズンになれば営業するのかもしれないが、施錠されていたドアが何らかの原因で壊れてしまったのだろうか?

浜辺の奥地にたどり着く。砂浜に石がゴロゴロしてきた。さらに奥へ行けないこともなかったが、この辺で岩に座って海を眺めることにした。

サントリーニ島 レッドビーチ

 

泳げたら、さぞかし気持ち良いだろう。裸足になろうかとも思ったが、ここの浜では思いとどまった。

帰りがけ、一組のカップルに写真を頼まれる。ゴロゴロ岩を超え、崖の小道をたどり、アスファルトの道に戻った。誰かが音楽を奏でている。果物屋の屋台はヒマそうだ。もう一度、レッドビーチをふりかえる・・・。そして、木陰一つない、蒸発しそうなアスファルトの道を、アクロティリ遺跡まで戻った。

つづく

レッドビーチの詳細はこちらです。

おすすめ記事