癒し
エピダウロスからナフプリオンへ戻るバスの中、わたしは、ナフプリオンの美しい海と潮風と…そして、このギリシャ旅では欠かせなくなった飲み物:フラッペが、恋しくて恋しくて、たまらなくなり、頭がいっぱいになってしまった。
そして、ナフプリオンに着くやいなや、まずは、命のエネルギーを補充するため、わたしはカフェ(コーヒーアイランド)へダッシュし、フラッペを注文したのだった。
外の席に座り、涼風の中、フラッペをひとくち…
ああ、生き返る…
そして…
今日もよく動いたなぁ…
充実した、心地良い疲れ…いろいろあったけれど、人の優しさが身に沁みた1日でもあった。
わたしは、こうしてしばらくの間、ボーっとして、頭を空っぽにする時間を過ごしたのだった。
小石のビーチ 2
いったんホテルに戻り、少し休んだ後、わたしはビーチサンダルを片手に、カストロ(パラミディの城跡)の脇を通って、前日にも訪れた小石のビーチへ行ってみることにした。たしか、19時頃だったと思う。
泳いでいる人は数人。小石のビーチで寝そべっている人たちも数人。あと、海を見に来た女の子たちが岩に座っている程度。暮れなずんでいくビーチにぴったりな、心地の良いBGMも流れていて、本当にゆったりできる場所だった。
クリスタル・ブルーの海水と小石たち。
わたしは、岩のそばにスニーカーとビーチサンダルを置くと、足だけ海につけてみた。小石が、ちょうど、足つぼのような感じになる。気持ちいい。
小石を拾ってみたり、写真を撮ってみたり、いろいろ楽しんだあとは、足がつる前に海からあがった(笑)。そして、ビーチから少し離れた場所に腰掛けた。
この静かな美しさを、全身で見て聞いて感じていると、ビーチの上の方(多分、海辺の散歩道かどこか)から「うわぁー、きれいねぇー」と心から感嘆する女性の声が聞こえてきた。それは、アメリカ英語の、ハッとするような美しい響きであった。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
何もしない。
目の前の海、空気、風、音…をただ感じるだけ。
何もしない。
何もしない…。
そして、とうとう日が傾き、美しいたそがれ時がやってきた。
そろそろ街に戻ろうかな、と思いつつ、これが最後の夕暮れ(明日には、この美しいナフプリオンを去らねばならない)、そう思うと、胸が締め付けられるようだった。
冒頭写真:夕焼け色に染まる海の風景、ナフプリオン