ふたたび、海辺の散歩道
小石のビーチから、パラミディの城跡前の駐車場を経由し、海辺の散歩道を「ヤシの木の海岸通り(ブルジ島)方面」に歩く。
右手には、ゴツゴツした険しい崖がそびえ、「落石注意」の看板があるのもうなづける。見上げると、ところどころにサボテンが群生していた。
左手には、海が広がる。そのはるか彼方には、水平線があるはずだったが、空と海の境目はかすんでいて、よくわからない。
途中で、海に下りれる枝道があり、海面近くへ寄って、美しいクリスタル・ブルーの透明度を楽しむこともできた。
本道に戻り、岩のトンネルをぬけ、イワツバメが飛び交うエリアを足早に通り過ぎると、絶景ポイントが見えてくる。急なカーブを曲がると…
オォ!(美しい!)
吸い込まれるような美しさ!
昨日と同じ場所であるが、空の表情がちがって、今日もまた「すばらしい!」。
ほぼ、人影はなく、刻、一刻と、空のグラデーションが変化してゆく、こんなにも美しい景色を、わたしは独り占めにしていた。
なんて、贅沢なんだろう!
お得!?
さて、左手前方に見えてきたのが、ブルジ島である。
このまま、ブルジ島を左に見ながら海辺の散歩道を突き進んでいくと、木々は途絶え、前方に石造りの砦が見えてくる。その先が、本日のゴール「ヤシの木の海岸通り」だ。
それにしても…
夜8時半をまわったところで、ようやく暗くなりかける夏のギリシャは、お得感がハンパない。観光に、時間をギリギリまで有効に使える。日中は、ミケーネの遺跡をめぐり、夕方から、カストロ(パラミディの城跡)登り、そして海辺の散策でまったり…なんて、1日の中に、こんなに盛り込んでいいの!?、と思ってしまう。
レストランにて
さて「ヤシの木の海岸通り」へ無事、到着。そのまま夕食を摂ろうと、レストランが多く集まる旧市街の通りへ向かった。
どこに入ろうかな~♫
いろいろ見てみようと思っていたのだが、あっけなく、わたしは、人懐こい笑顔の、人の良さそうなお兄さんに捕まってしまった(笑)。
あんまり多くは食べられないよ~
と、わたしが言うと、彼は「サガナキ(チーズ焼き)」をすすめてきた。しかしながら、わたしは、ある予感がして「サガナキのチーズって(もしかして)フェタなのかな?」と尋ねてみた。実は、わたしはフェタ・チーズのしょっぱさが苦手であった(フェタ・チーズ入りのサンドパンで、とんでもないしょっぱさを経験して以来、用心深くなっていた)。
彼が「フェタ」と答えたため(笑)、わたしは「フェタのしょっぱさが苦手なんだ~」と言うと、彼は「違うチーズもあるよ!」と答えた。しかしながら、わたしは、さらに用心深く(笑)「そのチーズもしょっぱいんじゃない?」ときいてみた。すると、彼はしばらく「うーん」と考えた後「(たしかに)しょっぱい!」と答えた!!!
(えぇぇぇーーー!)
なすすべなく「どうしたもんか…」と思っていると、彼はこう言った。
こっち来て!
何だろう?と思いつつ、彼についていくと、レストランの台所前に連れて行かれた。そこには、ガラスケースの中に幾種類もの料理が並んでおり「その中から選びなさい」とのことだった。
わぁ!
どれもおいしそうで、決めるのに手間取ったが、トマト煮込み風の料理を選んだ。実は、これが「大正解!」だった。
気にしすぎ?!
レストラン前の、かわいらしい小道にセッティングされた屋外席から、小道を行きかう人々や、周りの建物を眺めながらお料理を待っていると、本当に、異国情緒を感じる。空の暗さが増すにつれ、店先のランプはますます輝きを増し、雰囲気が出てくるのであった。
しかしながら、わたしが案内された席は、そういったランプの(あまりに近い)真下にあったため、暗くなるにつれ、虫が来るのではないか?と心配になってきた。食事をゆっくり楽しめないかも…?!と思うと、すぐにウェイターさんに声をかけ、ランプから離れた席へ移動させてもらった。
しかしながら…!!(笑) 今度は、すぐ隣の建物が取り壊し(?)中なのか、シートが被せられ、その隙間から、真っ暗な廃墟の様子が見えた。ちょっと怖い気もしたが、それよりも、何かが崩れ、ホコリが飛んでこないか、心配になってきたりもして…(笑)。そんな自分に「もう、さっきから、気にしすぎ?!」なんて、苦笑いしてしまった。
お料理を待つ間に…
お店の看板
屋外席の雰囲気を楽しみながら、お料理を待つうちに、お店のかわいい看板(?)が気になってきた。オシャレなのは言うまでもないが、描いた人の温かい気持ちが、全体から伝わってくる気がして、写真に撮らずにはいられなくなった。
そこで、ウェイターさんに許可を得、看板の写真を撮らせてもらった。
見て~! セリフが魚になってるよ!(笑)
讃美歌
そうこうするうちに、人々の合唱が聞こえてきた。それは、近くの教会から聞こえてくる讃美歌であったが、それは、今まで聞いたことのある、わたしの中の讃美歌のイメージとは違っていた。表現するのが難しいが、独特のメロディ(節回し)があり、言うならば、オリエント(中近東?)よりの雰囲気を併せ持つような、不思議な魅力があった。
オスマン・トルコの長い統治時代の影響もあるのか、と気になって、通りかかったウェイターさんに尋ねるも「ギリシャ独自のもの」とのことだった。
食レポ~♪
さあ、お待ちかねの食レポ!
じゃーん!
味は、ハンバーグのトマト煮込みであり、間違いのない美味しさだった! ハンバーグは柔らかくジューシーで、酸味のあるトマト・ソースと相性はバッチリ! トロトロに煮込まれた野菜からの旨味も加わり、美味しすぎて何の抵抗もなく、スルスルと胃の中へ収まってしまった。赤ワインやパンとも、相性はバッチリであった。
実を言うと、このギリシャ旅、No.1🥇の美味しさに輝く、すばらしい料理であった。
わー!!🎉
驚き
美味しい料理に、身も心も満足し、ゆっくりとリラックスした時間を楽しんだわたしは、頃合いをみて、レストランを出ようとした。すると、最初に声をかけてきた、あの、人の良さそうなニコニコのお兄さんが「ありがと~!!」と満面の笑顔でさっと来て、送り出してくれた。
それは、まったく思いがけないことで、驚きであったが、彼のお人柄なのだろう、ド直球の温かさが、胸にジーンときたのであった。
ホテルへの帰路
すっかり空は暗くなっていたが、繁華街の人出はさらに増えており、道行く人に加え、小道に設置されたレストランの屋外席もかなり埋まっていて、にぎやかであった。
ホテル方面へ向かう途中に(先ほどの)讃美歌で盛り上がっている教会があった。わたしは、少し見学できたらいいなと思ったが、歌声がする方を見ると、教会は高い場所に建てられており、小道からはよく見えなかった。
しかしながら、讃美歌を聴きながら歩くうちに、合唱が綺麗すぎることに気づき、ひょっとしたら、CDか何かを大音量でかけているのかも…?!と思い始め、きっとそうだ、そうに違いない、と確信した。
よって、教会には寄らず、その日は、まっすぐホテルへ帰ったのであった。
冒頭写真:レストランからの風景、ナフプリオン
今回、ブログを書くにあたり、ネットで自分なりに調べ得た情報がありましたので、下記に記します。
1. レストランで注文した料理について
「スズカキヤ(スズカキア)」という料理であることがわかりました。ギリシャ語の「Σουτζουκάκια」で画像検索すると、俵型のハンバーグの特徴が、わかりやすいです。白米と一緒に盛り付けられた写真もあり、親近感がわきました(笑)。
2. レストランについて
偶然にも、看板の写真からお店の名前「ΠΑΛΙΑ ΤΑΒΕΡΝΑ(Palia Taverna/パリア・タベルナ)」がわかりました。しかしながら、グーグル・マップのレストラン情報によると、残念ながら「閉店」とのことでした(ギリシャ語ではなく、英語表記で出てきます)。最新の口コミが1年前とありましたので、コロナによる閉店かもしれません(涙💧)。
もう少しお店の情報を知りたいと思い、ネット検索を続けたところ、ナフプリオンの歴史に触れているHP(「Psaromachalas – A walk in the oldest neighbourhood of Nafplio」)の中で、なんと、このパリア・タベルナは、1810年(日本で言うと、江戸時代・文化7年)創業と紹介されていました!! 当初は、別の名前があったのですが、いつの頃からか「パリア(=古い)」と名前が変わり、今日に至るとのことでした。
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
このような歴史あるレストランだったとは…!!
閉店だなんて、本当に寂しいですね…。