ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 テサロニキ ヴェルギナ日帰り旅7 ギリシャ旅68

※ギリシャ人女性Yさん・・・ヴェルギナへ向かう途中、バス乗換え駅:ヴェリアで出会い、道連れとなった。

テサロニキ到着

ヴェルギナ日帰り旅も、ついに終わりを迎えることとなった。無事、マケドニア・バスターミナルに着くと「ねえ、一緒に写真を撮ろうよ!」とYさんが言った。わたしたちは、近くを通りがかった女性に声をかけ、写真を撮ってもらった。

撮影が終わると、お互い笑って顔を見合わせた。別れの時が近づいていた。わたしは、一緒に旅ができて楽しかったとYさんに伝え、ほんのささやかな旅の記念として、考古学博物館で入手した、どんぐりの黄金のリースの絵はがきを彼女に差し出した。Yさんは喜んでくれ、良かったと思った。

相乗りタクシー

本来、このマケドニア・バスターミナルで、Yさんとはお別れのはずだった。彼女はタクシー、わたしはバスで帰るつもりだったのだ。しかしYさんは「途中まで、タクシーに乗って行きなよ!」と、わたしを後ろから呼び止めた。わたしは驚き「え?!でも・・・」と言いかけたが、「いいじゃない? 途中まで一緒に行こうよ、ね?」ということで、わたしもタクシーで帰ることとなった。

ホテル、エル・グレコの名で、運転手さんはすぐにわかってくれた。エグナティア通りを目指して、車は走り始めた。Yさんがギリシャ語で運転手さんと話しており、おそらく、わたしをホテルで落とした後、そのまま、彼女の行き先に向かってほしい、と言っているようだった。

しばらく走り、景色が街中の風景に変わった頃、なぜか、タクシーは停車した。そしてドアが開くと、突然、見知らぬ女の子が乗ってきた。

(わっ!)

わたしは、心底、驚いたが、「あー、これがギリシャの相乗りタクシーか!」と、すぐに思い出した。行き先が先客と同じ方向ならば、タクシーの相乗りがギリシャでは成立する、とガイドブックに書いてあった。

(あー、これがね・・・)

わたしは、相乗り体験ができたことを、とても嬉しく思った。

さらに驚き

タクシーに乗ってきたのは、ティーンエイジャーぐらいの女の子で、行き先を告げるやいなや、タクシーに乗るまでのいきさつを、元気いっぱい話し出した。すると、Yさんも、運転手さんも、話に加わり、笑い合って、タクシーの中は、和気あいあいとした空気になった。

彼らはギリシャ語を話しており、何を話しているのか、詳細はサッパリわからなかったが、車内は明るく楽しくなって、先刻、会ったばかりの赤の他人とは思えなかった。わたしには、まるでファミリー(お父さん、お母さん、娘さんの3人家族)を見ているような、そんな感覚だった。

そんな彼らにカルチャー・ショックを受けつつも、わたしは、タクシーの中、リラックスできるこの雰囲気を楽しんでいた。(日本ならば、タクシーで乗り合っても、相手の領域をさないよう、静かに座って窓の外を眺めるくらいだろう。他人に話しかけるのも、はばかられるお国柄ゆえ)

Yさんとの別れ

ほどなくして、女の子はタクシーを降りていった。彼女が乗っていたのは、とても短い時間だった。

そして、タクシーは見覚えのある通りに出た。エグナティア通りだ。わたしは、お店や看板の一つ一つに、注意深く目を走らせた。そして、ついにエル・グレコが見えてきた。無事、ホテルに到着し、わたしは財布を取り出した。すると、Yさんは「そんなの、いーから、いーから!」と言い出した。わたしは驚いた。なぜ彼女がそんなことを言うのかわからず、尚もタクシー代を財布から取り出そうとしていると、「いーのっ!」と彼女は言い放った。思わずふりかえると、”いーと言ったら、いーんだから!”と、彼女の目が言っていて、わたしは動けなくなった。今から考えれば、最初から、彼女はこれを心に決めていたに違いなかった・・・ああ、そんなつもりではなかった・・・かえって悪いことをしてしまった・・・と思った。それと同時に、なんて律儀なのだろう、と思った。絵はがき1枚のために・・・。

エフハリスト!(ありがとう!)

わたしは、彼女の気持ちを快く、有難く頂いた。お互い、笑顔でのお別れとなり、わたしは、タクシーが見えなくなるまで見送った。

実は、Yさんからは電話番号をもらっていた。彼女はスマートフォンを持っていたが、操作は話すのと写真しかできないと言っていた。しかし、わたしはわたしで、スマートフォンを持っておらず、渡せるものはメールアドレスしかなかった。わたしは、息子さんにメールのやり方をきいてみて、と彼女に言ったが(当時、Yさんは、コスの家からテサロニキに住む息子さんの家に遊びに来ていた)、ハードルは高かったのかもしれない。

つづく

冒頭写真:テサロニキの街(イメージ画像)

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