ヴェルギナへの日帰りバス旅を含め、テサロニキのおすすめ観光を案内します。
実際の旅(5月下旬)では、夕方、テサロニキ入りし、前泊しました。
1日目:ヴェルギナ(フィリッポス2世の墳墓見学)、市内観光
2日目:市内観光(テサロニキ博物館・他)→ 17:00発のバス便で出立
参考になれば幸いです。
ヴェルギナ(Vergina)
テサロニキ周辺には、ペラやディオンなどの見逃せない遺跡が他にもありますが、「アレキサンドロス大王の父、フィリッポス2世の墳墓がそのまま残されている」という点に惹かれ、ヴェルギナ行きを決めました。博物館の展示もすばらしいものばかりでした。古代マケドニアの象徴「ヴェルギナの太陽」が模様付けられた、フィリッポス2世の黄金の納骨箱が有名です。
遺跡と博物館
一見すると、芝生の生えた小高い丘のような、古代の古墳のように見える地下施設の中に、王の墳墓と博物館が収まるユニークな場所です。(冒頭の写真をご覧ください)チケット(遺跡と博物館共通)は12ユーロ(旅行当時)でした。
館内は薄暗く、展示物がその中で明るく際立って見えます。王の墳墓の暗闇と静けさが全体の空気に溶け込み、その中では、宝物のきらめきが、瞼(まぶた)の裏に焼きつけられます。こうして館内を巡り、死者の世界の空気に馴染んできたところで、館内奥にたたずむ王の墳墓と対面します。雰囲気づくり、見せ方が非常に凝っている博物館です。
博物館の舞台裏(施設や展示の工夫など)について
パンフレットの前半(半分)が、博物館の施設や展示の工夫などの説明で占められており、今まで見学した、どの博物館とも違っていました。
その部分を、パンフレットより一部、和訳し引用します。()内は加筆です。
フィリッポス2世の埋葬群
王家の墓とすばらしい絵画、そして、唯一残った、古典古代の偉大な巨匠による、オリジナル作品を保護するため、温湿度管理などの電子制御システムを備えた保護シェルが構築されました。古代の古墳を思わせるような外観です。
地下のシェルには、墓地を囲む4つの連続したスペースがあります。ここでは、独自の実験が試みられました。(その)博物館(の4つのスペース)は墳墓を囲むようになり、フィリッポス2世、アレキサンドロス大王、そして、彼の息子:アレキサンドロス4世・・・に捧げられた博物館霊廟となりました。
宝物は納められていた墓の横に展示されていますが、かつてのようではありません。・・・
・・・ 展示方法は、その形や性格を尊重しなければなりませんが、そこに・・・(博物館を訪れる)現代の見学者たちの美学を反映させることは避けられません。
これらの事を考慮して、最も厳しい仕様基準を満たす、最小限の、恒久的な形と、近代的で中立的な素材 - 金属、クリスタル、・・・アルミニウム、合成ガラス - が選択されました。 出土品を保護し、継続的に保存していくための最適な条件を確保するために、現代の国際技術がミュゼオグラフィーの分野で提供すべき最高のもの - 密閉され、個別に温湿度管理された金属のショーケース、光ファイバー、金属の吸音パネル、電子制御システム - が要請されました。・・・
・・・死と忘却は「影と色の欠如」に相当し、一方で、生命と記憶は「光と色」に相当する、という考えを前提としていました。 灰色の色調に包まれた現代の建造物(保護シェル)は、薄暗がりに飲まれ見えなくなります:このようにして、影の世界が作られました。・・・唯一、使われた色はロイヤルパープル(やや青みがかった深い紫色)であり、・・・王家の・・・血筋を暗示しています。
・・・(博物館の)エリアは複数のスペースに分割され、(スペースからスペースへ)歩みを進めるにしたがって、見学者の心には驚きがうまれ、好奇心が刺激されるようになっています。空間に君臨する闇が畏敬の念を起こし、(見学者の)声をささやき声に変え、死者の国の雰囲気を醸し出します。
パンフレットより一部、和訳し引用。()内は加筆。
展示の見どころ案内
パンフレット後半は、見学順路に沿った見どころ案内です。
パンフレットより一部、和訳し引用します。()内は加筆です。
・・・入り口には、大古墳の写真とその立体モデルがあり、遺跡とそのモニュメント全体の様子を(わかりやすく)印象づけています。最初のユニットは、(古代の)マケドニア人たちに捧げられています。彼らの墓石が大きな古墳の盛り土から発見されました。そのすぐ後には、マケドニアの墓(IV)の遺跡があり、(支柱なしで立っている)独立した柱を伴っています。柱は、ヘレニズム時代の初期に建立された記念碑で、王家の古墳の端(はじ)にありました。
次は、高貴な身分の死者への信仰に捧げられた、地上の記念碑「ヘルーン」です。その横にはフィリッポス2世の7人の妻の1人、おそらくフェライのニケシポリスの墓(I)があります。ここ(ヘルーン)では、墓の壁を飾るフレスコ画が重要です。・・・(以下、フレスコ画の描写です)娘を冥王ハデスの手から救うことができなかった母、女神デメテルの言葉にならない心痛、死の支配者による無防備なコレー(ペルセポネ)の誘拐の目撃者となったニンフ(精霊)の目の中の恐怖、これら全てが、来館者を冥界の神秘へと導きます。そして、準備が整ったところで、・・・フィリッポス2世に捧げられたユニットに到着します。
最初のエリアでは、王の武器、葬式で使用された道具、彼の権威の象徴、そして最後の風呂で使用された貴重な青銅製の道具が見られます。そのすぐ後に、フィリッポス2世の墓の「羨道(えんどう)」を降りて、王家の狩りをフレスコ画で鑑賞することができます。・・・(そして)フィリッポス2世に捧げられた、展示の心臓部・・・では、黄金の箱や花輪、見事な討論会の道具、そして貴重な黄金と象牙の宴会用の長椅子の間に、彼の「復活した」金で縁取られた鎧が、記念のトロフィーとして立っています。アキレスの鎧に値するこの鎧は、おそらく、フィリッポス2世が全ギリシャ人の指導者である、と宣言された時に身に着けていたものでしょう。・・・
次のユニットは、若くして亡くなり、紀元前310年以降、輝かしい先祖の影に埋葬された、アレキサンドロス大王とロクサネの息子である、アレキサンドロス4世に捧げられています。そして、一連の墓石と、これら宝物を発掘したマノリス・アンドロニコスの写真をもって、展示は・・・終了します。
パンフレットより一部、和訳し引用。()内は加筆。
注意点
1.墳墓/博物館内の全エリアで、撮影禁止でした。最新のルールを現地で確認し、厳守しましょう。
2.博物館のショップが敷地内にありますので、そこで絵ハガキなどを購入することができます。場所は現地スタッフにお尋ねください。
3.飲み水は携帯した方が良いですが、敷地内に喫茶店がありました。(定休日不明)
行き方(公共バス)
まず、マケドニア・バスターミナル(テサロニキ)からヴェリアへ行き(所要:約1時間15分)、バスを乗換えて、ヴェリアからヴェルギナ(所要:約20分)へ行きます。ヴェルギナで下車後、そのまま道を進行方向に歩くと、ほどなくして遺跡入り口に着きます。
バスの時刻表はこちらです。HPに飛びましたら「SCHEDULE」をプルダウンし、目的地をお選びください。
追記:ヴェルギナ行き(KTEL Imathias)のバスのHPが閲覧不可となっておりましたが、アクセスが復活しました。しかしながら、ヴェルギナの時刻表が見あたりませんでしたので、現在、問い合わせ中です(冬期は、ヴェルギナまでの運行がなくなるのかもしれません。2024年10月31日)。
バス利用の注意点
1.マケドニア・バスターミナルには余裕をもって行きましょう。チケットを買い、トイレを済ませ、乗り場を確認して、バスを待ちましょう。
2.チケットの紛失には気をつけましょう。車内で検札あり。
3.チケットを往復分、買っておくのも良いと思います。(マケドニア・バスターミナルでは可能でした)ヴェリアでは、チケットを購入する際に(ヴェルギナからの)帰りのチケットの購入方法も一緒に確認しておくと良いと思います。(車内でチケットが買えたかもしれません、要確認)
4.乗り継ぎの時間配分に注意しましょう。
5.ヴェルギナの帰りのバス停が(旅行当時)ありませんでした。博物館の門を出て左へ数十メートル歩いたところがバス乗り場でしたが、ただの歩道でした。さらに左へ進むとレストランがあるのですが、そのレストランまではいかない距離でした。わからなければ、レストランなどで尋ねてみてください。(バス停ができていれば、ラッキーです!)
実際の旅では
マケドニア・バスターミナル 9:15発、ヴェリア 11:15発 のバスを利用。乗換えで1時間ほど時間が余ったので、ヴェリアの町を散策しました。お菓子屋さんをのぞいたり、教会を見学できました。
「女ひとり旅日記 ヴェルギナ日帰り旅」はこちらからです。