ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 テサロニキ ヴェルギナ日帰り旅5 ギリシャ旅66

帰りのバス待ちで

ギリシャ人女性Yさんと、地べたに直接座って、とりとめのないことを話していたが、この、地面を近くに感じる感覚というのが、わたしをとても懐かしい気持ちにさせた。こんな風に、地面にどっかり座って人と話すのはいつぶりなのか、小学生以来なのか、中学生以来なのか、わたしには思い出せなかった。

似ているけれども、ぜんぜん違う!

Yさん:わたしの友達が、あなたのこと好きなのよ

わたし:へっ!?

意味がわからず、わたしは固まった。

何かの話が一段落ついたとき、Yさんが突然、こう言いだしたのである。(と、言ってもYさんはまったく悪くない。勘違いしたのは、わたしであった)

理由を尋ねると・・・

Yさん:さぁねー、そんなのわからないわよ

わたし:・・・!?

Yさんは、わたしの怪訝な表情に気づいたのだろう、スマートフォンを取り出すと、「ほら!」と、友達の写真を見せてくれた。

ロングの黒髪・・・

ここで、やっとわたしは自分の間違いに気づいた。彼女は「わたしの友達、あなたに似てるのよね~」と言っていたのだ。(be like、likeの大きな違いであった、あー・・・💧)当然、理由を尋ねるなど、わたしはおバカさんであったのだが、次の瞬間、もうこのことは、どこかに吹き飛んでしまっていた。

ぜんぜん違うけれども・・・似ている?

Yさんの友達は彫りの深い顔立ちであり、黒髪ではあるものの、全く、わたしには似ていなかったのだ。どうして「似ている」というのか、理解できなかった。「全然、似ていない」と彼女に告げたが、彼女は頑として「似ている!!」とゆずらなかった。そして「似ていない!」「似ている!」の押し問答となったが(笑)、彼女が揺らぐことはなかった。

・・・ということは、外見ではなく「感じ」が似ているということ? わたしは、ゆいいつの共通点である、彼女の写真の黒髪を横目で見つつ、Yさんを見た。

究極の選択

Yさん:ねえ、よかったら・・・コスの家に来ない?

Yさんは、こんなことも言ってくれた。

わたしは、びっくり仰天して、彼女を見つめた。知り合って、まだ数時間の、しかも外国人であるわたしを、自分のコス島にある家へ招待するというのだ。

わたしは、彼女の懐の深さに、胸がじーんとなるのがわかった。

Yさん:ほら、見て! これがウチの写真、キレイでしょ~(笑)

うつくしい緑の庭、花々の写真、白亜の邸宅に青い空、そしてレモンの木・・・わたしの憧れとも言うべきものが、次々と写真に現れた。海から3キロのところだという。

庭でくつろいだり、ビーチに出かけ夕陽を眺めたり、彼女と一緒に買い出しに行って料理を作ったり・・・、おそらく、ギリシャの家庭料理を2,3マスターできるかもしれないし、たぶん、黒髪の写真の彼女にも、本当に会えるのだろう。

とてもステキな事が待っていそうな気がした。帰国はまだまだ先で、時間にも余裕があった。もし、ここでわたしが「ネ(=YES)」と答えれば、この空想は本当のことになっただろう。

しかし、わたしは大変苦労して、この魅力的な申し出に添うことができないことを、彼女に伝えなければならなかった。体が2つあったら、どんなに良かったことだろう!! 1つをギリシャ本土、横断の旅へ派遣し、もう1つは、エーゲ海の島に舞い戻り、バカンスを満喫するのだ。

つづく

冒頭写真:テサロニキ市内で見かけたネコ

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