ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 ナフプリオン 考古学博物館 4 ギリシャ旅168

◆膨大な展示の中から、個人的に惹かれたものを紹介します。””内は、博物館の説明をざっくり和訳しています。一部、ガラスの反射や暗くて不鮮明な画像があります。ご容赦下さいませ。

宝飾品

続いて、宝飾品の展示を見てみよう。

”黄金のアクセサリー、紀元前1400年~紀元前1300年”

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)下の3つは、想像上の怪物(グリフィン?)が施されている。

下写真:左上 ”ガラス、ファイアンス焼、アメジスト、カーネリアンのビーズ…、アシニ(アスィニ)の室墓より出土、紀元前15世紀”

ナフプリオン考古学博物館

 

”黄金のビーズ、アシニ(アスィニ)の室墓より出土、紀元前1500年~紀元前1350年”

ナフプリオン考古学博物館

 

下写真:上 ”丸い形の花と、パピルスと一緒に描かれたヤシの木のてっぺんの形をした黄金のビーズ、紀元前15世紀” 他2点 ”ガラスのビーズと飾り版、紀元前1500年~紀元前1350年”、いずれもアシニ(アスィニ)の室墓より出土

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)上:3つのモチーフが融合している複雑なデザインでビックリ!

こちらも↓ 複雑な模様のデザイン。

ナフプリオン考古学博物館

 

こちらは、象牙の花のモチーフ。

ナフプリオン考古学博物館

 

おまけ:近くにあった工具の展示…

ナフプリオン考古学博物館

 

刃先のギザギザが細かい‼

ナフプリオン考古学博物館

 

ミケーネ時代の狩猟と戦争

ミケーネ時代の狩猟と戦争について、展示ボードの説明を引用します。

狩猟と戦争

狩猟と戦争は…ミケーネの上流階級の人々の地位と権威を表すものとして、…重要な役割を果たしていました。狩猟は、饗宴(きょうえん)の食材の調達としてだけでなく、領土の管理手段として、また戦争の訓練として重要でした。

猪牙(ちょき)の兜(ヘルメット)は、他の何よりも、狩猟と戦争の融合を体現した人工遺物でありました。兜1つに、約40頭のイノシシの牙が必要だったのです。

また、ミケーネ時代の戦争で重要だったのは、2輪の戦車(チャリオット)でした。特に、青銅の鎧は、戦車部隊の戦士と関連がありました。

線文字Bの粘土板により、…戦車部隊を維持するために必要とした、膨大な資力が明らかになっています。

身分のある戦士の墓は、際立って豪華であり、権力と威信の表れとして、軍事力を誇示するものでした。

ナフプリオン考古学博物館、展示ボードより (一部引用し、ざっくり和訳)

 

下写真:中央壁面 ”右肩当て、デンドラの室墓より出土、紀元前1500年~紀元前1400年” 左壁面 ”象牙製の8の字型の盾、城塞の低層部より出土、ティリンス、紀元前1300年~紀元前1180年”

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)中央壁面:肩当ては、戦車部隊の戦士が使っていた可能性が高いらしい。左壁面:壁に大きく描かれた茶色のアニマル柄の盾の中央に(わかりにくいが)象牙の8の字型の盾(ミニチュア)が展示されている。

”イノシシの牙、カザルマのトロス式墳墓より出土、紀元前1500年~紀元前1450年”

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)兜一つに、約40頭のイノシシの牙‼ 度肝を抜かれる‼

※(自分なりにネットで調べたところ)カザルマのトロス式墳墓は、ナフプリオンの東(15kmほど)に位置する。背後の丘の頂上には、アクロポリス(サイクロプス式石積の城壁が残る、ミケーネ時代の城塞跡)もあるようだ(また、余談だが、近辺に、今も現役で使われているミケーネ時代の石橋:カザルマ橋(またの名をアルカディコ橋)があるという)。

下写真:上 ”戦車に乗った戦士が描かれたクラテルの破片。城塞の低層部より出土、ティリンス、紀元前1180年~紀元前1050年” 下 ”戦車に乗った戦士が描かれたクラテルの破片。城塞の低層部にある地下の水場への通路より出土、ティリンス、紀元前13世紀末”

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)上:戦車が向かい合って描かれているようだ。下:(少なくとも)2台の戦車が同じ方向(右向き)に行進しているようだ。

下写真:上 ”戦車に乗った戦士が描かれたクラテルの破片、城塞の低層部より出土、ティリンス、紀元前1180年~紀元前1050年” 下 ”黒曜石とフリントの矢じり、デンドラの室墓より出土、紀元前1500年から紀元前1400年”

ナフプリオン考古学博物館

 

下写真:左 ”青銅の矢じり、ミデア、紀元前13世紀” 右 ”狩猟シーンを描いたクラテルの破片、城塞の低層部にある地下の水場への通路より出土、ティリンス、紀元前12世紀初頭”

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)右:狩猟犬の花柄が気になるところ(笑)。壺絵の装飾的スタイルなのか、何かシンボル的な意味があるのか…ひょっとして、ミケーネ人は犬にオシャレさせてた? なーんて(笑)。

下写真:中央スタンド ”青銅の鎧と、復元された青銅の頬当て付き猪牙(ちょき)の兜” 下段(左奥から右奥へ)”青銅の水差し、青銅の注ぎ口付き円錐形鉢、青銅のたらい、3つのアラバスタ、青銅の腕当て(籠手:こて)、紀元前15世紀末”、いずれもデンドラの室墓より出土

ナフプリオン考古学博物館

 

※(自分なりにネットで調べたところ)デンドラとは、ミデアの支配者階級の人々の石室墓や、盗掘されていないトロス式墳墓が発掘された場所。(上写真の)青銅の鎧一式の出土が有名。近くには、ミデアのサイクロプス式石積の要塞跡が残っている。おおよそナフプリオン~ミケーネ間の中間辺り(やや東)に位置する。

上写真の拡大↓

ナフプリオン考古学博物館

 

ズーム写真(ピントが合わず…涙💧)

ナフプリオン考古学博物館

 

別アングルからの青銅の鎧

ナフプリオン考古学博物館

 

下写真:”銀のカップ、デンドラの室墓より出土、紀元前15世紀末”

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)青銅の鎧と同じ室墓から出土している。

当時は、金銀のきらびやかなカップだったのだろうが、3000年以上の時が経過すると、こんなに真っ黒になってしまうんだな、と、改めて驚く。

カップの中も(当然)真っ黒であった。

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)カップの取っ手にある装飾が興味深い。

…花の下に施されているのは、長い角のある牛の顔かもしれない。そして、牛の顔の下は、おそらく、元々は扇形のモチーフが左右シンメトリーに施され、それらは、パピルスの花かもしれないが、このカップの場合、クレタの「双斧(のシンボル)」の可能性が高いような気がする…などと、想像するのも、楽しいひと時である。

つづく

冒頭写真:デンドラ出土のミケーネ時代の青銅の鎧、ナフプリオン考古学博物館

おすすめ記事