ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 メテオラ メガロ・メテオロン2 ギリシャの旅94

※韓国人女性Kさん・・・メテオラへ長距離バスで向かう途中、経由地:トリカラで出会った娘さん。お母様と旅をしている。カランバカでホテルが一緒だった。

◆メテオラの地図(日本語は加筆しています)

階段

バス終点からメテオラの絶景に歓声を上げた後、さっそくメガロ・メテオロン修道院の見学に入った。と、言いたいところだが、そのままバス・ターミナルから簡単に行かれるわけではなかった。いったん崖を下り、そして、あらためて修道院までの長い長い階段を上っていくのだ。

ひえー!

目を凝らすと、豆粒のように小さい人々が、崖を上っていく様子が見えた。(下写真のピンクの印が修道院へと上がる階段)

あ、あそこを上っていくのかー!

メガロ・メテオロン修道院の階段

 

一瞬、あっけにとられるも、「よし!」と気合を入れて歩き出す。

以前にも書いたが、足腰のトレーニングがここで役に立つのが嬉しかった(サントリーニの階段のため、旅行前にトレーニングをしていたが、その時は役に立たなかったのだ)。

階段を上り、橋を渡って修道院に入る。階段を上りながらも、絶景を堪能。絶えず、小鳥のさえずりが聞こえていた。

新たな道連れ

修道院に入る途中で「ねえ、一人旅してるの?」と声をかけられた。振り向くとショートカットの東洋人女性が立っていた。不意のことで驚きつつも、わたしは「イエス」と答え、「あなたは?」と尋ねると、彼女も一人旅とのことだった。出身を尋ねると、韓国とのことだったが、ご主人の仕事の関係でドイツに住んでいるという。今回、2人でギリシャに来たが、ご主人はアテネで仕事中とのことだった(以下、彼女をLさんと呼ぶ)。わたしは、韓国ときいてKさんを思い出したが、Lさんは、非常に落ち着いた物腰の女性だった。

Lさんと一緒に岩の間の階段を上り、建物に入ると入口でチケットを購入した。

ヤーサス!(こんにちわ)

エナ・イシティーリオ、パラカロ(チケット1枚、お願いします)

そう言って、わたしは窓口の女性に話しかけた。

カタカナの、なんちゃってギリシャ語で決まり文句を言ったに過ぎなかったが、それを聞いていたLさんが「ギリシャ語話すのー?!」とビックリしていたのが印象的だった(そんなわけないじゃん!と、わたしはニヤニヤしてしまったが、しかしながら、Lさんはとてもいい人なのだった)。

メガロ・メテオロン内で

後から思えば(ガイドブックの言う通り)、他の修道院と比べ、このメガロ・メテオロン修道院の規模、広さ、部屋数、重厚で歴史的価値のある豪華な装飾品(宝物?)が圧倒的であったとわかる。見学者の数も群を抜いていた。

Lさんと一緒に、いろいろな部屋を見てまわったが、たとえば、壁一面に聖人たちの絵が描かれていて、その一つ一つに物語があるのだろうが、とても見尽くすことはできない、といった感じだった。また(Lさんによると)聖書の物語が描かれている壁もあるとのことだったが、いくつかの絵は知っているが、全部はわからない、とのことだった。

わたしは、キリスト教信者ではないので、芸術・文化として、これらのものを見学していたが、Lさんのまなざしはそれ以上のものだった。

いくつもの外国人グループがいたが、そのうちの一つにLさんは的をしぼり、ガイドの説明を聴いているようで、わたしと目が合うと、彼女は笑って「ドイツ人のグループなんだけどね、わたし、ドイツ語がわかるんだ~」と言っていた。「クリスチャンなの?」と彼女に尋ねると、やはり「イエス」とのことだった。

わたしは周りをブラブラとしていたが、ふと上を見ると、天井から釣り下がるオブジェ(照明器具?)に、ダチョウの卵のようなものが、数個付いているのを見つけた。

え? たまご?

不思議に思い、じーっと観察するも、やはり卵以外の何ものにも見えなかった。修道院の重厚な装飾の部屋の中にいながら、わたしの意識は、いつしか、スペインの芸術家:ダリの「卵の家」に飛んでいた。しばらくして、わたしは黙っているのに耐えられなくなり「あれって卵かな? 卵は(キリスト教の)再生の象徴か何かなの?」と、Lさんに尋ねてみたが「わからない」とのことだった。しかしながら、いつの間にか、Lさんは誰かに尋ねてくれたらしく、やはりオブジェは「卵」だったと教えてくれた。

さらなる見学

時間が許せば、もちろん、丁寧に見学をしたかったが、わたしはそろそろ他の修道院巡りのことが気になりだしていた。そこで、残念ではあるが、Lさんとはここでお別れとなった。彼女は引き続き、ドイツ人ガイドの説明に耳を傾けていたので、もしかしたら、見学は、ここ、メガロ・メテオロン修道院のみだったのかもしれない、と思った。

ここからは単独で、さらなる見学を続行した。すばらしかったのは、庭からの絶景。

メガロ・メテオロン修道院の庭から眺め

 

そして、もう一つ、修道院内の見学で印象深かったのは「カギ十字の旗と一緒に、メテオラの谷底へ真っ逆さまに落ちていくナチスの軍人」の絵があったことだ。軍人の向こう側に見える奇岩の頂上には、ギリシャの旗を掲げる司祭が小さく描かれていた。

ヴァルラーム修道院へ出発

見学もほぼ終わり、出口付近の、聖人が勢ぞろいしている壁画の前で、Kさんたちに会うことができた。残念ながら、彼女らともここでお別れとなった。写真を撮って、お互いに良い旅になることを願う。

そして、完全な一人旅に戻ったわたしは、出口で巻きスカートの布を返却し、修道院を後にした。

崖からの絶景を眺めながら、岩の間の長い長い階段を下りる。奇岩もすごかったが、吸い込まれるような谷の深さ、そして遠くに開けていく景色は圧巻だった。そして再び、わたしは、小鳥のさえずりに包まれていった。

つづく

冒頭写真:メガロ・メテオロン修道院からの絶景

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