再びトリカラ
バスは、14時にカランバカを出発し、トリカラに無事、到着。次の目的地は、いよいよオリンピック発祥の地:オリンピアであるが、長い道中のため、その手前、パトラという港町で一晩、宿をとることにしている。パトラ行きのバスは、このあとトリカラを15時に出発する。到着は20時過ぎ。出発まで、まだ時間があるので、長距離移動にそなえ、ゆっくり休憩をとるつもり。
このトリカラのバスターミナルは、以前、テサロニキからメテオラに来た時にも利用したので、今回で2回目である。よって、今回は、喫茶でグリーク・カフェを注文するなど、余裕をもって、休憩することができた。
パトラ(ペロポネソス半島)へ
休憩後、バスターミナルの「パトラ行き」の案内板前でスタンバイ。バスチケットは、カランバカからパトラまで通しで買ってあったので、ここ、トリカラでは何もすることはない。待っていると、やがてバスが入って来た。
乗車前に、もう一度、行き先を確認する。チケットを提示すると、係員がリュックをバスの下にある荷物スペースへ入れてくれる。貴重品・水・チケット・ガイドブックなどを車内に持ち込む。
今回の長距離移動は、いつも動いて観光している合間の休日のようなもので、車内で眠ったり、景色を見たり、写真を撮ったり、ガイドブックを読んだり、まったり過ごそうと決めていた。
ギリシャの長距離バスの良いところは、BGMが付いているところで、ジャンルはいろいろで(多分、運転手さんの好みだと思う)、知っている曲はほとんどなかったが、これが、結構、気分転換になって、心がまぎれるのであった。
ずいぶんと長いバス旅であったが、心地よいBGMと、次々と移り変わる車窓の景色に、結局、わたしは一睡もせず、パトラ入りしたのであった。
車窓の風景
山や谷をいくつ超えたのだろう…時々、小さな町中に入るも、すぐ郊外の畑や山になる。
こんな風景を見ながら、ふと、ギリシャの食料自給率はどのくらいなのだろう?と疑問が浮かんだりした。そして、そういえば…と、日本の自給率が低いことを、ヴェルギナの遺跡へ行く道中で、道連れとなったギリシャ人女性が知っていた事を思い出した。
崖、岩、谷、山、畑、丘…バスの窓は、ギリシャのダイナミックな風景を映し出す、フィルムのようにも思えてくるのだった。
バス旅の休憩
そうこうするうちに、バスは3時間近く走ったのだろう、一度、休憩が入った。このバスに乗っていた若い車掌に「休憩は何分間か?」とつたないギリシャ語で尋ねてみるも、彼の返答をよく理解できなかったわたしは、とにかく、トイレが混雑しては大変!と、素早く行動した。しかしながら、並ぶこともなくスムーズに利用できたし(時期によるかもしれません)、トイレットペーパーもきちんと補充され、よく管理されているトイレだった。
この休憩所は、みやげ屋・軽食屋を兼ねており、お菓子なども販売されていた。中でコーヒーを飲みくつろいでいる人もいたが、わたしは、バスが動きそうになったら、すぐに乗車できるよう、他の乗客と一緒にお店の入り口に立っていた。
懐かしい日本語
屋内には、アジア系のグループがいたが、彼らの言葉がよくわからず、出身国は不明だった。店の入り口に立っていると、その彼らが出てきた。すると…
なーんか、風が気持ちいいっすね~!
と、ガイドらしき男性が伸びをしながら言った。
(わー!)
なんと、ひさびさの日本語!! そう思って彼らの声に耳を傾けると、高齢の方々も日本語、そして若い女性は、関西弁を話していたのだった。そう、彼らは日本人だった。
わたしは、懐かしさのあまり、彼らに話しかけてしまいそうになった。
えー、出発時間ですが、運転手がまだ店で買い物してるので、みなさん、すみません!
と、ガイドの男性が言う。バスの出発時間が過ぎたが、運転手がまだ買い物中らしい(笑)。しかし、程なくして、運転手は戻ってきたので、無事、彼らは休憩所から去って行った。
そして、しばらくして、わたしのバスも、運転手が戻ってきて、出発となった。
冒頭写真:(トリカラから)パトラ行きバスの車窓風景