ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 メテオラから再びトリカラへ  ギリシャの旅107

小さなサプライズ

カフェタイムをゆっくり満喫した後、わたしは荷物をピックアップするため、ホテルに戻った。チェックアウトを終わらせると、オーナーさんと娘さんが見送りのため、わざわざ玄関の外に出てきてくれた。わたしが、振り返ると…

ぜひ、ブッキング・コム(ホテルの予約サイト)に感想を書いてね!

と、彼女は言って、手を差し出してきた。なんと、彼女の手の中には、ティッシュでラフにくるまれたビスケットが1枚用意されていた。思いがけないオーナーの心遣いに、わたしは驚きつつも、それをありがたく頂戴したのだった。

カランバカに2泊した理由

当初、カランバカは1泊と考えていたが、丸一日を、修道院めぐりとメテオラの自然を楽しむことに使いたいと思うと、わたしにとって1泊は厳しい日程だった。バスの時間を気にして行程を短かくしたり、追い立てられるような見学にはしたくなかった。また、夜間のバス移動ができたかもしれないが、車中泊は体のことを考え、選択しなかった。体あっての旅。体を充分に休ませることは、旅を続ける上で、本当に大切なことだからだ。

カランバカのバスターミナル

バスターミナルは町の中心から外れた場所にある。昨夕も、この場所には来ていたが、改めて、強い日差しの明るい中で見ると、バスターミナルらしからぬ、バスターミナルだった。と言うのも、いくぶん幅広くなった道に、バスが散らばって待機しているだけの場所で、広場があるわけではなかった。よって、アテネやテサロニキ、トリカラのバスターミナルのように「○○行きは○番」などといった整然さはなかった。

とにかく案内板は出ていないので、そのまま見ているだけでは、よくわからない。わたしは、こうした様子にちょっと茫然としてしまった。が、そうこうするうちに、あるバスに客が乗車し始めた。わたしは急いで、そのバスのチケット売りに、そのバスがトリカラへ行くか尋ねてみた。すると「このバスは違うよ、キミのバスは向こうだ」と指さして教えてくれた。バスの車体に行先の表示はなく、本当にわかりにくい。

人間観察

バスを待っていると、近くに東洋人のボブカットの若い女の子がやってきた。一人旅らしい。超ミニのショートパンツ姿で、惜しげもなくすらりと伸びた足を出している。日本人のようにも見えたが、全体の雰囲気から、そうではない感じがした。もし日本人だとしたら、外国育ちなのかもしれない。話しかけてみようと思ったが、いまいち勇気が出ず。

しばらくすると、道路の反対側にバスが来て、人々が乗車し始めた。このバスがトリカラ行きであった。先ほどの、ボブカットの彼女は、わたしの一つ前のシートに座った。すると、通路をはさんで彼女の座席の向こう側に座っていた白人の若い女性が、何やら英語で彼女に話しかけてきた。そこから白人の女性による、世にも恐ろしい体験談?!が始まった。

詳細はよく聞き取れなかったが、白人女性の真に迫った顔の表情や話しぶりで、そうとう怖い目に遭ったのだ、という事がわかった。そして、白人女性が…

超こわかったーーーー!

と言うと、ボブカットの彼女は、腹を抱えて大笑いし始めた。そして、わたしも、白人女性の話がほとんどわからなかったにもかかわらず、心の中で爆笑してしまった。と言うのも、その白人女性の顔の表情が、本当に真に迫っていて、見開いた目の中の瞳までもが、恐ろしさで震えているような印象で、まるで現場の再現フィルムを見ているようだった。

そうこうするうちに、彼女らはお互いの出身国が同じだとわかったらしく「キャー💓」と喜びの悲鳴を上げると、今度は彼女らの母国語(多分、フランス語?!)でさらに勢いづき、何を話しているのかは全くわからなくなった。しばらく、彼女らのガールズトークが続いたものの、白人女性が途中で下車すると、バスの中はまるで、急に火が消えたように静まり返った。

そして、バスは無事、トリカラへ到着した。

つづく

冒頭写真:メテオラ

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