ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 ナフプリオン 考古学博物館 6 ギリシャ旅170

◆膨大な展示の中から、個人的に惹かれたものを紹介します。””内は、博物館の説明をざっくり和訳しています。一部、ガラスの反射や暗くて不鮮明な画像があります。ご容赦下さいませ。

アルカイック期の崇拝

ティリンス遺跡のパンフレットによると、紀元前13世紀の地震と火災をきっかけに、衰退し、放棄されていったティリンスであったが、城塞の高層部(Bothros)から、神への奉納品が見つかったことにより、宗教的な儀式が行われていたことがわかっている。

さっそく、展示ボードを見てみよう。(一部引用し、ざっくり和訳)

たくさんの奉納品が納められた「Bothros(ボスロス?)」と呼ばれる竪穴の保管庫は、ヘラ崇拝の儀式が行われていたことを証明しています。

また、紀元前750年から紀元前650年頃の出土品の中には、テラコッタ製の奉納盾や儀式用の仮面も含まれていました。

後から中央の中庭に建てられた壁の中に、神殿のものと思われるドーリア式の柱頭が組み込まれているのですが、その神殿の場所は分かっていません。

崇拝は、紀元前5世紀後半から紀元前4世紀前半まで、確実に続けられてきたことが、城塞の別の場所で発見された奉納品からもわかっています。ティリンスでは、城塞の低層部に向かう通路で、アテナ崇拝の証拠も見つかっています。

また、ベルバティ渓谷でも、紀元前7世紀から紀元前6世紀にかけて、儀式が行われていたことがわかっています。

かつてミケーネのトロス式墳墓を覆っていた墳丘墓(ふんきゅうぼ)の隣で、奉納品が発見されたのです。杯や小型の壺、その他の様々な奉納品が、焼かれた骨の混ざった灰土(かいど)の塊の近くに置かれていました。

ベルバティ渓谷の住民は、トロス式墳墓を英雄や先祖の眠る墓地と考えていたのかもしれません。彼らはお墓で飲食し、陶器や小像を奉納することで英雄や祖先を敬いました。

ケファラリ(Kefalari)で偶然発見されたクーロスのブロンズ像については、おそらく、その地の神殿に納められていたものだろうと推測されています。

ナフプリオン考古学博物館、展示ボードより (一部引用し、ざっくり和訳)

 

※(自分なりにネットで調べたところ)ベルバティとは、アルゴスの北東(ミケーネのほぼ東)に位置する渓谷で、古くは旧石器時代からの遺跡があるそうだ。ミケーネ時代の石室墓なども見つかっている。また、ケファラリ(Kefalari)は、アルゴスから南西に下ったアルゴリス湾の北端に位置する。

下写真:”アルカイック期のギリシャ美術、テラコッタの像、陶器、小さな青銅製品、紀元前7世紀~紀元前6世紀”

ナフプリオン考古学博物館

 

”小さな青銅製のクーロス像、ケファラリ(Kefalari)より出土、紀元前560年~紀元前540年”

ナフプリオン考古学博物館

 

※(自分なりにネットで調べたところ)クーロスとは、直立して左脚を少し前に出し、拳を固めた両手を太股の側面につけている青年像のことである。

下写真:”テラコッタの女性像、城塞の上層部より出土、ティリンス、紀元前7世紀~紀元前6世紀”

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)Bothros(ボスロス?)出土であるこれらの像は、アテナ崇拝を表わしているそうだ。

下写真:左側の台の上 ”テラコッタの小さな女性像、城塞の上層部より出土、ティリンス、紀元前7世紀~紀元前6世紀” 右半分奥から ”騎馬戦士像、踊る像、鳥の像、供物を積んだ馬の像、(何かを)こねる女性の像、紀元前7世紀~紀元前6世紀” ”三脚の調理鍋、ダイノス(混合用鉢)3つ、紀元前7世紀~紀元前5世紀”

ナフプリオン考古学博物館

 

下写真:紀元前6世紀~紀元前5世紀の女性像

ナフプリオン考古学博物館

 

(上写真↑)コリント式女性像、子豚やその他の供物を運ぶ女性信者像、カネフォロス像(供物の入ったカゴを運ぶ女性像の頭部)、ヒュドリアフォロス像(壺を運ぶコリント式女性像の頭部)、など。

※(自分なりにネットで調べたところ)カネフォロスとは、古代ギリシャの宗教行列で、供物が入ったカゴを頭に乗せて運んた若い女性。行列を先導し、儀式の中心的役割を果たしたという(見えにくいが、上写真では、右手前の頭部像:頭の上に鉢のようなものがのっている)。

奇妙な仮面

さらに見学を進めていくと…

うわー、なんだこれ?!

奇妙な仮面がヅラ~リ…。今まであちこちの博物館で、神話上の怪物の絵やモザイク、レリーフなどを見てきたが…そのどれにも当てはまらない顔立ちをしている。

”テラコッタの儀式用マスク、城塞の上層部、Bothros(ボスロス?)より出土、ティリンス、紀元前7世紀”

ナフプリオン考古学博物館

 

天狗のような鼻をしている。ネズミ系+イノシシ系+ヒト(?)が混ざったような感じ。

ナフプリオン考古学博物館

 

よく見ると、耳にはピアス用の穴があけられている。呼吸口としての開かれた口、もみあげからアゴにかけては、耳用の穴/通気口が並んでいる。

ナフプリオン考古学博物館

 

ナフプリオン考古学博物館

 

しかしながら、いずれも、目の覗き穴は見当たらない。

ナフプリオン考古学博物館

 

実際に、着用されたのかわからないが、儀式は、かなり特殊なものだったに違いない、と、奇妙な仮面の顔を見て思う。

つづく

冒頭写真:城塞の上層部、Bothros(ボスロス?)より出土した儀式用マスク、ティリンス、ナフプリオン考古学博物館

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