ナフプリオン最終日
ナフプリオン、3日目の朝…今日もすばらしい天気☀に恵まれた。今日の夕方には、わたしはナフプリオンを発ち、コリントス(イスモス)行きのバスに乗車している予定である。この地を離れる切なさと、まだ見ぬコリントスへの好奇心が入り混じり、複雑な心境ではあったが、とにかく最後まで、思いっきりナフプリオンを楽しもう!と思う。
ハプニング
まずは、朝一番で、ナフプリオンから公共バスでわずか10分の、ティリンス遺跡へ向かう。この遺跡もミケーネ文明の遺跡であり、ミケーネ遺跡同様、巨大な石積み(サイクロプス式石積)の壁がそびえ立つことから、巨人が石を積み上げた、という伝説があるらしい。
バスで10分の遺跡見学とは、なんてお手軽なのか!と、わたしは嬉しくなり、バスの中で気分も軽やかにいたものの、なんと、今日に限って、走り出したバスはすぐに止まってしまうのであった。
え…?
…と思うも、道がとんでもなく渋滞していて、バスはナフプリオンの町を抜け出すことすらできなかったのである。何事かと思い、窓の外を見まわすと、昨日までは何もなかったナフプリオン郊外へ抜ける道は、なんと、即席の青空マーケットの屋台でびっしりと埋まっていたのだった。それが延々と続いている。そう、今日は、青空市の日だったのだ!
いつもなら、あっという間にバスで通り過ぎてしまう場所なのだが…。しかしながら、10~15分程度(?)で、なんとか渋滞から抜け出すことができ、とりあえずホッとした(笑)。
遺跡のバス停
渋滞を抜けてしまえば、遺跡までは早かった。先日、ミケーネ遺跡やエピダウロス遺跡へ向かう途中、バスの車窓から眺めた、廃墟ながらも堂々たる風格が漂う、石の建築物が見えてくると、運転手より遺跡到着を告げられ、わたしはバスから降ろされた。彼は「あっちだよ」と言うように遺跡の方角を指さすと、そのまま走り去って行った。
バスから降りた場所には(案の定)、バスのりばを示す(バス停のような)目印はなかった。同じく、道路の反対側にあるはずの、帰りのバス停も見当たらなかったので、遺跡窓口で、必ず、帰りのバスのりばを確認しよう!と思った。ギリシャでは、バスのりばの目印(バス停など)があったり、なかったりするので、周囲に人がいるうちに、確認するクセをつけておくと良いだろう。
下写真:バス道路から見たティリンス遺跡(部分)
ティリンス遺跡、入場
バスの運転手が指し示した方向へ歩いて行くと、遺跡の入口があった。小さな小屋がチケット売り場になっている。
ミケーネ遺跡同様、世界遺産に登録されている遺跡であったが、周囲には、わたしの他には誰も訪問者が見あたらなかった。まだ、午前中だからか、と思うも…気がつけば、じりじりと太陽の照り返しは厳しく、もう肌は焼けてくるのであった。
城塞への坂道
今まではバスの車窓越しに、全景を遠くから見ていたに過ぎなかったが、いよいよ巨人が積み上げたという(?)、迫力の城塞が目の前に迫ってきた。
岩の転がるエリアを通り抜ける。
遺跡に咲いていた花。
ゆるい坂道を上っていく。
坂道の途中にあった石積。崩れそうで崩れない…(笑)
坂道からは、オレンジの果樹園が見渡せる。清々しい鮮やかな緑。
のどかな風景が広がる。
城壁の中へ
坂道を上がった先には、堂々たる、在りし日のティリンスを彷彿とさせる、りっぱな城壁が見えてくる。一つ一つの石の大きさ、そして壁の厚さに驚嘆する。紀元前13世紀半ばには、この「サイクロプス式」石積の壁が、この広大な複合宮殿施設の周りを取り囲んでいたという。
ミケーネ遺跡にも劣らぬ迫力に、思わず、見学コースを外れ、壁がカメラに収まるよう、距離を取って写真撮影をした。そして、城塞の正門を目指すべく、坂道を上り続けた。
冒頭写真:城壁、ティリンス遺跡
ティリンス遺跡の詳細はこちらをご覧ください。