ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 クレタ島 イラクリオン離陸へ ギリシャの旅24

ヴェネツィア時代の要塞

遅めのランチを食べ、ゆっくり休憩した後、ヴェネツィア時代の要塞まで、散歩してみることにした。

クレタ島 イラクリオン ヴェネツィア時代の要塞へ

 

残念ながら、イラクリオン旧市街をじっくり散策する時間はあまりない。それどころか、もう数時間後には、この魅力あふれる島、クレタ島を後にしなくてはならない。

旅行の計画を立てている時に、クレタ島めぐりには、最低でも1週間は欲しいなぁ・・・と思ったのを覚えている。しかし、今回は都合がつかなかったのだ。

・・・    ・・・     ・・・    ・・・     ・・・

それにしても、潮風が気持ちいい!

お腹もふくれ、思考はストップ。遠くに見える山がきれいな三角形をしていて、

まるで、おにぎり🍙みたいだなぁ・・・

などと、思ったりして(笑)。

太陽の光が反射する波間を見ているうちに、”また、来ればいいんじゃないか?!”、という気持ちになってきた。

クレタ島 イラクリオン ヴェネツィア時代の要塞へ

 

要塞の周りをしばらく歩く。ヴェネツィアの象徴、有翼の獅子(ライオン)が見えた。クレタ島は、長年、他国の支配下にあり、それが、いっとき、ヴェネツィアの時代もあったのだ。

クレタ島 イラクリオン ヴェネツィア時代の要塞

 

透明な海の水。吸い込まれそうに美しい。

クレタ島 イラクリオン

 

「ヴェネツィア時代の要塞」の、ざっくりした情報はこちらです。

おじさん、再び

海辺でリラックスした後、荷物をピックアップしに、ホテルへ戻った。フロントを見ると、にこやかな金髪の女性スタッフは消え、おじさんに代わっていた。

わ!

また、おじさんに会えるとは思っていなかったので驚いたが、最後に挨拶ができると思い、嬉しかった。

(教えてくれた)レストランに行ってきたよ!

嬉々としておじさんに声をかけるも、おじさんは上の空で返事をする。手元のノートから目を離さなかった。

あ、そうか!

おじさんは、今、いろいろ大変なのだ。おじさんの頭の中で、そろばんの玉がパチパチ鳴っているのが聞こえてくるようだった。わたしはおじさんの邪魔をしないよう、大人しくこの場を去ることにした。

荷物を取りに来たことを告げると、おじさんは、黙って荷物室のドアを指さした。相変わらず、熱心にノートを見続けている。

おじさんの、あまりの素っ気なさに、あっけにとられたが、考えたところで仕方がなかった。

荷物を背負い、最後にお礼の言葉を言おうと、振り返った時、おじさんはノートからパッと顔を上げ、初めてまっすぐわたしを見た。そして・・・

ブッキングコムのコメント、必ず書いてくれよな?!

と言い放った。

わたしは、驚き、再びあっけにとられた。口を開きかけてはいたが、言葉は何も出てこず、ただ口をパクパクさせただけだった。

それを見て、おじさんは、わたしが忘れていると思ったのだろう。

コメント、書いてよ! 絶対だぞ!

と、さらに念を押してきた。

わたしは、なんとか笑顔で(必要以上に)うなづいてみせた。それがやっとだった。

ホテルを出ると、ドッと疲れを覚えた。

タダほど、こわいものはない・・・

思わず、こんな言葉が頭をよぎったが、それでも、おじさんを嫌いにはなれなかった。

おじさんは、最後の最後まで、今後のホテルの収益を多少は左右するかもしれない可能性にかけ、重要な念押しをするのを忘れてはいなかった。

おじさん・・・

”スマホは持っていないし、ネットカフェもほぼなくなってしまったし、すぐにはコメント書けないけど、日本に帰ったら、必ず書くからね!”

わたしは、心の中で、そうつぶやき、ホテルを後にした。

イラクリオン空港へ

再び、博物館近くの広場を訪れ、キオスクで切符を買い、バス停に並ぶ。隣に並んでいたおじさんに、空港行のバス停はここか、とギリシャ語で尋ねてみる。空港ね、ここだよ、と珍しく、ギリシャ語で答えが返ってきた。楽しい瞬間である。

イラクリオン 19:10発、ロードス島 20:00着予定である。空港で、サントリーニのTさんに手配してもらった eチケットを係員に見せると、チェックインは済んでいますね、ゲートはあっちですよ、と案内される。

ロビーへ向かうと、なんと日本語が聞こえてきた。

懐かしい!

まだ日本を離れて1週間ほどだったが、慣れ親しんだ響きと、苦労せずにすーっと意味が頭の中に入ってくる感覚に、感動せずにいられなかった。

つづく

 

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