ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 ナフプリオン 考古学博物館見学 ギリシャ旅165

復活

ティリンス遺跡から戻った後は、ホテルのチェックアウトを済ませ、そのまま、ナフプリオン観光を続けるつもりだったが、実はこのとき、使えなくなったクレジットカードのことが気になり始めていた。

というのも、原因は、カードケースでの保管を怠った磁気不良と思われ、パトラの宿泊以降クレジットカードは使っていなかったのだが、妙なことに「そろそろ、使えるんじゃない?」という、変な確信がわいてきたのだった。よって、今回、ホテルのチェックアウトの際、カードを使ってみよう!と思いついたのだった。

ホテルのオーナー姉妹のお姉さんが対応してくれたが、何回かカードを機械に通すも…失敗だった。彼女は度重なるエラーに驚いて取り乱し、動揺して言葉が出ない様子だった。

ここで、「カードは使えません」とカードを突き返されても、おかしくない状況であったが、なんと、彼女はそうしなかった。驚くことに、彼女は息を整え、自身を落ち着かせると、機械をぐっとにらみつけ、カードの読み取りに全神経を集中させ、ふたたび挑み始めたのである。

たった10秒にも満たない時間であったが、彼女は、ゆーーーっくりとしたスローモーションのような亀の歩みのスピードをキープしたまま、カードを機械の溝に注意深くスライドさせていった…。その間、息はできず、時間も引き伸ばされているような妙な感覚がした…そして、

ブラボーーーー!

カードは無事、機械に読み取られ、支払いは成立していた‼

ホーッ!

緊張がほぐれ、思わず、笑みがこぼれた落ちた瞬間だった。

ナフプリオン考古学博物館へ

(どうなることかと思ったが…笑)ホテルのチェックアウトが無事終わると、そのまま、大きな荷物を預かってもらい、わたしは考古学博物館へ向かった。今まで、ここナフプリオンを拠点にして、3つの大きな遺跡を巡る旅をしてきたが、なんと、この街にも考古学博物館があると知り、興味がわいてきたのだった。

旧市街を東から西へ突っ切るように、シンタグマ広場方面へ向かって歩いて行くと…

わぁ!!

色とりどりの、かわいらしい小旗が舞う広場に出くわした。

ナフプリオン

 

今日は祝日? それとも…お祭り?!

風にはためく旗たちが、華やいだ気分をさらに上昇させてくれる。

ナフプリオン

 

よーく見ると、見た事もない柄や文字の書かれた旗がまざっている。

ナフプリオン

 

どんな意味が込められているのだろう?

ナフプリオン

 

考古学博物館の見学

考古学博物館は、シンタグマ広場の奥にひっそりと建っていた。ガイドブックに短い紹介文が載っているに過ぎなかったが、この博物館は3階まで見学フロアがあり、丁寧に見てまわると、それなりに時間は必要であった。

・・・    ・・・    ・・・    ・・・

それでは、いくつか見てみよう(””内は博物館の説明をざっくり和訳)。

”フランクティ洞窟で見つかった新石器時代の遺物、紀元前6800年~紀元前3200年”

ナフプリオン考古学博物館

 

※(自分なりにネットで調べたところ)フランクティ洞窟とは、ナフプリオンより南東に下った海岸近くにある(何千年~万年という)石器時代の人々が暮らし続けた洞窟で、その痕跡から彼らの暮らしの発展過程をたどることができる、たいへん貴重な場所のようだ。

”「クーラー(冷却器)」ティリンス、紀元前2700年~紀元前2200年”

ナフプリオン考古学博物館

 

※(自分なりにネットで調べたところ)気化熱を利用して、食物・飲料を冷やす冷却器のようだ。ウィキペディアによると、今もアフリカなどで気化熱を利用した冷却器(土器)は使用されているようで、二重ポット式冷蔵庫=pot-in-pot refrigerator、クレイポットクーラー=clay pot coolerなどと呼ばれている。写真の土器も、周りに湿った砂を入れ、濡らした布を上にかけ、中に入れた野菜や果物、ワインなどを保っていたのかな…?などと想像する(湿度の高い日本では、向かなそう…)。

”甕(かめ)ティリンス(?)紀元前2700年~紀元前2200年”

ナフプリオン考古学博物館

 

数千年前の数々の土器たち。

ナフプリオン考古学博物館

 

”イルカが描かれたティリンス宮殿の漆喰の床の正方形のパネル、紀元前13世紀”

ナフプリオン考古学博物館

 

背中合わせのイルカが2頭、縦に並んでいるのが見えるだろうか?

下写真↓ 中央のイルカが再現図。

ナフプリオン考古学博物館

 

ティリンス遺跡の炉床のある部屋(メガロン)の床には、イルカの他、タコや細かい模様の正方形の図柄が、まるでタイルを敷き詰めたように描かれていたようだ。

遺跡見学では、炉床さえ見つけることができず、粗削りな大岩の石積や、石ころだらけの宮殿の景色に圧倒されるばかりであったが、繊細で豊かな美的感覚あふれる、色彩に富んだ姿がティリンスにもあったのだ、と知ることができて嬉しかった。

”円い形の花と、パピルスの花&渦巻き模様のフレスコ画、ティリンス宮殿、紀元前13世紀”

ナフプリオン考古学博物館

 

パピルスの花は、おそらく、白い渦巻き模様の左上と右下の部分:扇形に描かれている部分なのだろう。そういえば、サントリーニのアクロティリ遺跡の壁画でも、パピルスの花は扇形に描かれ、ミケーネの考古学博物館でも、パピルスの花の黄金のイヤリングは扇形だったな、と思い出した。エジプトの多大なる影響の1つだ。

以下:ズーム写真

ナフプリオン考古学博物館

 

ナフプリオン考古学博物館

 

つづく

冒頭写真:ナフプリオン考古学博物館にて

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