ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 トリポリ、ついに出発! バス旅 ギリシャ旅124

トリポリのバスターミナル

さて、バス発車までの5時間、どう過ごそうか…と思ったが、とりあえず、バスターミナル併設の商業施設を見てみることにした。長距離バスターミナルと言えば、”喫茶店が併設されているぐらい”という認識であったが、ここは、土産物コーナーや子供向けの商品、本屋などが併設され、ちょっとした小物を楽しめる場所でもあった。

商品棚には、ギリシャの伝統菓子やドライいちじく、ナッツ類、色とりどりのキャンディなどがぎっしり並べられ、どれも魅力的であったが、とりわけ、わたしが心惹かれたのは、赤、オレンジ、黄色、緑、濃褐色の美しいジャムの瓶づめたちであった。

トリポリのバスターミナル ペロポネソス半島

 

子供向けには、ちょっとした玩具やぬいぐるみ、スナック菓子などがあった。わたしはここで、子供の頃に憧れた棒付きの大きな飴、”ペロペロキャンディ”を見つけ、思わず写真に撮ってしまった。一瞬でわたしを童心に帰させてしまう、不思議な魅力を持つ飴なのだった(笑)。

トリポリのバスターミナル ペロポネソス半島

 

そして、本コーナーでは、子供向けの絵本から、料理本、小説までが並んでいた。

あー、字が読めたらな~!

トリポリの長い午後

わたしは、なるたけ時間をつぶせるよう、店内をゆっくり、ゆっくり丁寧に見てまわった。可能な限り、時間を引き伸ばしてぶらついていたが、しかし、それも限度があった。そこで、腹ごしらえをすることにした。

土産物ショップの中央に設置された、ガラスケースの中に並ぶパンの中から、お惣菜パンを選び、コーヒーを注文。そして…

…ゆっくり時間をかけて食べたランチも終わり「さあ、どうしよう?」と思った時、幸運にも、オリンピアで買った、絵はがきの事を思い出した。これで、今までの旅路を振り返っては、楽しい旅の思い出を、家族へ綴ることができる。

…絵はがきも書き終わり、一息ついていると、向こう側のテーブルに集まっている初老のおじさん達に目が留まった。チェス(?)をしながら、世間話をしたり、パンを食べたり、ワイワイ楽しそうである。

そんな彼らを眺めているうちに、わたしは、彼らは一体、何なんだろう?と、考えずにいられなくなった。

町中のカフェ(カフェニオン)ならば、近所のおじさん達が集まって…という光景は珍しくないのだろうが、ここは、トリポリの町からポツンと郊外に離れたカフェ。しかも、バスターミナルのカフェである。一体、どのような経緯でおじさん達はここに集まってチェスをしているのだろう…?と、不思議に思った。

バスのお客さん?

それとも、カフェのお客さん/常連さん? 

チェス盤と駒は、誰かがいつも持参して来るのかな?

それとも…カフェが貸し出してたりして!?

おじさん達が寄り集まって、楽しそうにゲームに興じる姿を見ながら、疑問は尽きそうになかった。

トリポリ出発!

しばらくして、カフェにも飽きたわたしは、もう一度、何か見落としている物はないかと、店内をぐるぐる歩き回った。そして、特に、新しい発見はないとわかると、バス発着所のベンチに腰を下ろした。

他方面行きのバスが来ては去り、来ては去り、その都度、人はどんどん入れ替わっていった。しかしながら、時間はまったく進んでおらず、わたしのバスは永遠にやって来ないような気もした。が…

ついに、そんなわたしにも、とうとう、待ちに待ったバスが、やってきたのである!

キターーーーーーーーー!

ターミナルに、ゆっくり入って来るバスの姿を見守る。

さあ、出発だ!

気分が高揚してくる。

夕方の5:00出発。バスは「ナフプリオン行き」に違いないが、念のため、係員に行き先を確認する。

OK! 間違いなし!

チケットを提示し、大リュックをバスの荷物室へ入れようとした時、ちょうど、サイクルウェアに身を包んだサイクリストの男性2人が、自転車(※)を荷物室へ運び入れているのを目にした。

わー! (荷物室は)自転車もOKなんだー!!

と、思わず彼らを見ると…

あぁ!

あふれ出る喜びに光り輝く、少年のような笑顔。その、あまりのまぶしさに、わたしはハッとして、立ちすくんでしまった。その笑顔を見ただけで、今日一日が、彼らにとって、どんなに充実した一日だったかが、よくわかった。

熱で、体が溶けてしまいそうな太陽光線を直に浴びながらも、ギリシャの大地を自転車で走り抜けてきた彼らに、称賛の嵐がわき上がってくるのを抑えることはできなかった。

・・・        ・・・        ・・・        ・・・

…こうして長かったトリポリの5時間も終わり、わたしはナフプリオンに向けて、無事、出発したのであった。

 

つづく

(※)自転車を乗せたい場合は、念のため、事前にバス会社へ確認することをオススメします。

冒頭写真:トリポリ郊外(ナフプリオン行きバスの車窓から)

 

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