◆館内の展示ボードと写真を中心に、膨大な展示の中から、個人的に惹かれたものを紹介します。一部、ガラスの反射で写真が見にくくなっています。ご容赦くださいませ。
印象に残った展示物
大理石の石棺の断片
カレドニアのイノシシ狩りを描いています。 神話によれば、アイトーリアの王であるオイネウスに腹を立てた女神アルテミスは、彼の土地を荒廃させるために野獣を送りました。多くの英雄が狩りに参加しましたが、王の息子:メレアグロス、と大胆不敵な女性狩人:アタランテーが最初の人でした。
…メレアグロスは馬に乗ってイノシシを攻撃しています。
地面に横たわるアルカディアの英雄angaeusは、イノシシによって致命傷を負いました。アタランテーは馬の前を走っています。また、犬と一緒に描かれたハンターたちもいます。… 西暦225〜250年展示ボードより一部引用/和訳
カレドニアは現在のスコットランド、アイトーリアは現在のギリシャのエトリア=アカルナニア県の東部、アルカディアはギリシャのペロポネソス半島中央部にあたるそうだ。
耳の浮彫が彫られた石板
耳の浮彫のある石板は、一般的な奉納品で、セラピスと女神イシスが信者の祈りに耳を傾けたことを示しています。
この浮彫は、マルクス・agelleiusによって女神イシスに捧げられました。
紀元前1世紀初頭ごろ展示ボードより一部引用/和訳
キュリクス(ワイン用酒杯)
Sevasti、ピエリア県、紀元前350〜325年
展示ボードより一部引用/和訳
ワインを飲み干した時に現れる、凝った演出。
見事な装飾
1.ガレリウスの小さなアーチ
細かい浮彫装飾で埋め尽くされた、華麗なアーチ。圧倒される。
2.デルヴェニ(古代レテ)のクラテル
な、なんだ、これはー!
このクラテルの豪華さは圧倒的だった! クラテルとは、ワインと水を混ぜるのに使われた大型の甕(かめ)のこと。(古代ギリシャではワインに水を混ぜて飲んでいた)
レアもの
デスマスク!
これは老人の顔を石膏で型どったものです。
お墓で発見され、時は3世紀初期に遡ります。非常にまれなもので、おそらく(彫像の元になる)原型や半身像の作成において、故人の顔を保存するために、そのようなものが使用されたのでしょう。
(しかし)この、注目すべき石膏の型はまったく使用されていないようです。それは、なぜこんなにも保存状態が良いのかを物語っています。
型と一緒に展示されているのはシリコン鋳造です。
展示ボードより一部引用/和訳
ここの展示では、写真は撮らず、お顔を拝見するのみとさせて頂いた。(期待していた方、ごめんなさい)初老の男性の顔が非常に鮮明に残されており、これが1800~1700年前に生きていた人のものだ、というのに驚いた。現代人となんら変わりはなく、もし彼が生き返り、現代の衣服を身にまとったなら、たちまち人ごみの中に紛れ、消えてしまうだろう。
テサロニキのフォロ・ロマーノ
フォロ・ロマーノ(古代アゴラ)
フォロ・ロマーノのオデオン
…西暦200年頃に建てられた劇場の建物です。
背の高いステージファサードは、ミューズの神々の彫像と、オデオンの寄贈者である裕福な女性の彫像で飾られていました。
オデオンは帝政時代にまで遡る小さな屋内劇場で、演劇や演奏のためだけでなく、地元の貴族たちが参加した、詩の朗読会用の劇場でもありました。
ミューズの神々の姿をオデオンに飾ることは極めて一般的でした。
展示ボードより一部引用/和訳
インカンターダ(18世紀のスケッチ)
フォロ・ロマーノの入口の1つに建っていた門で、上部に彫像の柱が施されている。スケッチでは、ユダヤ人地区の家の一部になっている。彫像の柱は、今日、パリのルーブル美術館に展示されているそうだ。
終わりに
テサロニキ考古学博物館の展示物は、屋外にもおよぶ、膨大なものだった。いまだに現代のテサロニキの町では発掘が続いており、古代ローマの都だったこの町には、まだまだ地中に埋もれたままの遺跡がたくさん眠っているのだろう。そのうち、博物館の展示に収まり切れなくなり、新たな博物館がオープンしたりして…?!
それにしても、石の文化、金属加工技術の発達があったからこそ、古代の人々のことを、いろいろ遡って知ることができるのが、スゴイと思った。本当に楽しい時間を過ごせたと思う。
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さて、すばらしいコレクションを堪能した後は…
アギオス・ディミトリオス教会へ!!
今まで、2度訪問するも、地下聖堂の見学はできず。しかし、今回は3度目の正直(笑)!!
外は太陽の熱線で、じりじりと焼けるよう。
海沿いの公園で、アレキサンドロス大王の像を見つけた。しかしながら、あまりの暑さに遠くから、カメラのズームで写真を撮るだけにとどまった(笑)。
冒頭写真:アフロディーテの神殿跡からの出土品(テサロニキ)