ナフプリオン、初めての朝
さて、一晩明け、ナフプリオン初めての朝を迎えた。この日は、ミケーネ行きバスが10時出発だったため、久々にゆっくりと朝を迎えることができた。簡単に朝食を済ませ、すばやく身支度を整えると、わたしは勢いよくホテルを飛び出そうとした。その瞬間…
わっ!
誰もいないと思っていた小道に、宿泊客らとホテルのオーナー姉妹の姿があり、わたしは飛び上がらんばかりに驚いた。
一体、何?!
…と思うも、なんと、彼らは、わたしが”雰囲気づくりの演出”と思っていた路上の可愛らしい椅子とテーブルで、朝食をとっていたのだった。
異国の地ならではの風習であろうが、朝からかなりの衝撃だった。ほぼ人通りのない、ブーゲンビリアが咲く美しい小道ではあったが…。
しかしながら、わたしは落ち着きを取り戻すと、オーナー姉妹に…
カリメーラ!(おはようございます!)
…と、挨拶をし、昨日、ティーカップ一式を部屋に用意してもらったお礼を述べた。短い会話の後、姉妹より「コーヒーでも飲んでいかない?」と、お誘いを頂いたが、残念ながら、そこまでの時間はなく、辞退せざるを得なかった。
バスステーションにて
さて、ホテルを出発すると、昨日、見つけておいたパン屋さんへ直行し、ミケーネで食べるパンを調達してから、バスステーションへ向かった。
この、ナフプリオンのバスステーションは、バス窓口前の道路にバスが停まるだけで、広場のようなものはない。よって、アテネやテサロニキ、トリカラなどのように「○○行きは○番」というシステムはないのである。
バスの窓口前でバスを待っていると、男性が来て…
ミケーネ、行く人~?!
と、叫び出した。わたしは「ハッ!」と我に返り…
行きま~す!!
と、ジェスチャーも交え、担当の男性にアピールした。
すると、わたしの他にも、返事をした白人の若者が一人おり、わたしたち2人は、その男性に連れられ、少し離れた道路に停まっていた、ミケーネ行きのバスに案内された。
不思議な感覚(Cさん)
理由はわからないが、この時、偶然にも、同じバスに乗り合わせた白人の若者が、なぜか強烈に目に焼きついた。彼に特別、人の目を引くような、何かがあったわけではない。強いて言えば、日焼けをしているくらいであったが、文章の中の太字が目立つように、大勢の人の中にいても、彼をパッと見分けることができるくらい、なぜか、彼の容姿がわたしの記憶に深く刻み込まれたのである。
しかしながら、バス乗車後は、彼の姿はまったく見えなくなり、すっかり、忘れてしまっていたのだが、後日、彼に助けられた(お世話になった)ことを考えると、なにか予感のようなものが働いていたのかもしれない。(以降、彼を「Cさん」と書きます)
ミケーネ到着!
さて、ミケーネ行きのバスに乗車してしまえば、終点まで、することは何もない。気楽な45分のバス旅である。
畑を越え、丘を越え、山を越え…、そして、車窓から石の建築物が見えた、と思うも、それがミケーネの遺跡群であった。
駐車場から、遺跡の入口に伸びる道へ、まっすぐ向かおうとするも、左手が崖っぷちになっており、そこから、はるか遠くまで見渡せる畑、山、丘などの緑あふれる景色がすばらしく、それらがミケーネで撮った最初の写真となった。
オリーブなどの木々がドット模様になり、本当にきれいだ。また、山や丘の雄大さに「大地」という感覚を強く感じ、感動したのだった。
冒頭写真:ミケーネ遺跡周辺の景色
ミケーネ遺跡行きバスの時刻(および、運行曜日、バス停の位置など)は、最新情報をご確認ください。(関連記事はこちら)