パラミディの城跡、登り口へ
美しい旧市街を歩き終え、ホッとするも、かなり時間が経っているはずだったが、まだまだ外は明るかった。夕食には早いし、ホテルに帰ってしまうのはもったいないし…と思っていたところ…
ハッ!(パラミディの城跡があるじゃない!?)
ナフプリオンのシンボルとして、街を見下ろすパラミディの城跡だったが、それが当たり前の風景のように感じてしまい、観光ができることを忘れていたわたしであった(笑)。
さて、城跡の登り口方面へ進むと、見るからに歴史的建造物と思われる石のアーチが見えてくる。アーチの上には、何らかの動物の像が設置されている(The Land Gate=陸の門と呼ばれるもので、ベネチアの象徴であるライオンの像が乗っているらしい)。その門をくぐり、公園のような場所を通り抜けると、右側に上り坂が見えてくる。その坂にはカフェがあり、城跡への階段は、そのカフェを通り過ぎた場所にある。
(下写真↓) パラミディの城跡と登り口のカフェ
(上写真の一部を拡大↓) 後ろに見える階段が、城跡への登り口。茶色い看板に「Stairway to Paramidi fortress(パラミディの城砦への階段)」と案内がある。
カフェは小さなお店で、ナフプリオン旧市街の外れにあるものの、城跡のおかげで大繁盛していた。
ところで…
カフェの(坂道をはさんで)反対側の下方には、レストランがあるのだが、そのレストランの脇の、高さのある道の穴から、水がかなりの勢いでドッとわき出ていて、それがレストランの中庭にある池へ流れ落ちていた。その水がどこから来ているのか、実に不思議で、何らかの仕組みで、池の水を循環させているのか、もしくは、本当の湧き水なのか…?、しかしながら、近辺に水源があるようにも思えず、かと言って、演出と考えるには、あまりにも大掛かりすぎると思い、誰かに尋ねたくてウズウズしたが、周りは外国から来ている観光客ばかりで、結局、誰にも確かめることはできなかった。
999段の階段?!
うっかりしていると、見過ごしてしまうような登り口であるが、観光客の姿と案内板が目印になる。誰に尋ねることもなく、さっそく階段を上ってみた。
(下写真↓) 上り始めの階段からの風景。右方向に先述した「陸の門」が見える。
ホテルのオーナー姉妹(お姉さん)も言っていたが、このパラミディの城跡の階段は「999段」で有名らしい。わたしのガイドブックには、一言も案内がなかったが、この城跡を、英語でネット検索すると、必ずと言ってよいほど「999」という数字が画面に踊る。
「999段、大丈夫かな?」と思うも、実は、旅行前に、サントリーニ島の階段(約500段)に備えトレーニングを積んでいたので、むしろ、そのトレーニングが役立つのが嬉しかった。
しかしながら、階段は狭いし(日本であれば、あるだろう)手すりや柵もないので、つまづかぬよう、転ばぬよう、注意をしなければならない。
振り返ったところ。
だんだん、小さくなっていく街並み。
一足ずつ集中して上るも、白人の人々は、手すり・柵なしに慣れているのか、何も怖くないらしく、スイスイ上って行く。すれ違って降りてくる人々も、普通にスタスタ階段を下りてくる。わたしは、彼らの身の軽さに驚きつつも、2/3辺りまでは、それでも普通に上ることができた。
上空からの絶景
さて、ここからは、上空から見えた美しい風景をご覧頂きたい。
街並みの反対側の景色。遠くに崖がそびえ、海辺の散歩道が、ほんの少し見える感じ。
ふたたび、街の景色。
そして…
街と崖、両方が見えるポイントに到達! 右の海上にはブルジ島、左の海岸線には海辺の散歩道が見える。
崖側の海の景色。
(下写真↓)写真を3枚、組み合わせてみました。(不自然なつなぎ目はご容赦ください)
ふたたび、崖側の海。穏やかで癒される。
青のグラデーションの世界。
城跡への階段。この辺りは、よく整備されている。
サボテンが生えていた。
ナフプリオンの内陸側。新市街と思われる。
ふたたび、旧市街。
そして、ブルジ島。
まるで、夕陽に向かって進む船のよう…。
美しかったので、もう一度、ズームで撮影。
(下写真↓)写真を2枚つなげてみました。(不自然なつなぎ目はご容赦ください)
ピンチ…の予感!
さて、ここまでご覧頂いたみなさんには、ご想像つかぬことと思うが、実は、このパラミディの城跡の階段は、上へ上がれば上がるほど、訪問者の身を守る石壁(手すり壁)がなくなっていくのである。
最初の、上り始めの低い場所では、手すり壁はないのだが(写真の通り)、ある程度の高さになると、訪問者の身の安全を配慮した石壁(手すり壁)が現れる。わたしは、それを当然のこととして、カメラ片手に眼下の風景を楽しみながら、これなら「999段なんて楽勝!」と思っていたのだが、途中から、なんと、その石壁(手すり壁)はとぎれとぎれになり、また、壁の高さが極端に低くなったりで、高くなればなるほど危険が増す断崖の上で「なぜ?」「あり得ない!」を、わたしは何度も心の中で叫びながら、上がることになったのである。
そして、ついに、石壁(手すり壁)もない、岩石も草もない、何もつかまる物がない断崖絶壁の階段が現れ、血の気が引く思いがしたが、足元から目を離さないよう気を集中して、一歩一歩、慎重に歩くことで、なんと、通過できてしまったのだった。
これは、上りだからできたことで、帰り、下れるかはわからなかった。にもかかわらず、上りを強行してしまったのは「頂上へ行ってみたい」という好奇心のせいだった。
これが、高所恐怖症であるわたしの「運命の分かれ道」になったのは、言うまでもなかったが、それよりも、まだ見ぬ世界への思いの方が強かった。
冒頭写真:ナフプリオンの絶景(パラミディの城跡の階段から撮影)。