ひとり旅日記 ギリシャ

女ひとり旅日記 オリンピアへ 長距離バス旅 3 ギリシャ旅110

夕陽のパトラ

日が傾く中、バスはペロポネソス半島に入り、いくつか町を通り抜けた。緑の多い場所だ。しばらく走り続けると、街路樹がヤシの木になり、海の景色に南国風の色どりが加わった。そして、海に張り出した山々が、ちょうど夕焼けと重なって美しいシルエットになった。

パトラの夕陽

 

太陽は沈む前に、最も美しい輝きを地上に放つものだが、ここペロポネソス半島の海辺でも、何もかもが黄金に光り輝き、この世のものとは思えない美しさが広がっていた。

エル・ドラード…

思わず、こんな言葉が口から出てくる。

クルーザーの並ぶマリーナ、散歩をする人々の影…美しい町だな、と思っていると、そこが宿泊地のパトラだった。心躍るも、あー、パトラはただの通過地点に過ぎないのだ、と残念に思った。

パトラの夕陽

 

ほどなくして、バスは、海に近いバスターミナルに到着した。

パトラの様子

パトラは、日本人にはあまり馴染みのない町の名前だが、ガイドブックによると、ギリシャでアテネ、テサロニキにつぐ、3番目に大きな商業都市だそうだ。また、港町でもあり、イオニア海側の島々やイタリアなどへの海の玄関口になっている。

メテオラで出会った、バイクでギリシャを観光していたドイツ人夫婦も、デルフィへ寄った後、このパトラから船でイタリアに渡り、そのままバイクでドイツへ帰国すると言っていたのだった。

さて、わたしはバスを降りた後、さっそく予約をしたホテル(ギャラクシー・シティセンター・ホテル)を目指し歩き始めた。周りの人々に道を尋ねながら、なんとなく歩いて行くと、賑わいのある歩行者天国風の大通りに出た。路上に、たくさんの椅子とテーブルが置かれ、それらはびっしりと人々で埋まっており、空席など一つもないほどで、わたしは驚いた。ちょうど、暑さがやわらぐ夕刻は、お茶するのにピッタリの時間なのだろう。(しかしながら、夜の8時半は過ぎていたと思われる)

わたしのホテルは、この大通りのどこかにあるはずだった。カフェのほか、洋服屋、おもちゃ屋など、いろいろな店が並び、雰囲気の良い場所だった。道は、白いつるつるの石でできており、一部分は大理石をはめてあるのだろうか?と思った。

一通り道を歩いた後、もう一度、引き返して、ホテルの看板がないか目を凝らして見ると、さっきの、人々でいっぱいのカフェの、すぐ隣に看板があった。グッド・プレイス!

ホテルの看板は、街路樹の大きく茂った葉に隠れがちで、入口も狭くわかりにくかったが、この大きなカフェが、りっぱな目印の役割を果たしていた。

ホテルのチェックインで

フロントでギリシャ語の挨拶をすると、即、英語で返事を返されてしまった。金髪の短かい髪をした中高年の小柄な女性が、テキパキと対応してくれる。

わたしは、彼女はギリシャ人ではないのかな、と思った。そして、こうも思った…外国人がギリシャに住みつくことは、よくあるんだろうな…、わたしだって、さっき、夕焼けの景色を見たら、ここにしばらく住んでみたいって思ったもん、と。

部屋はシングルを予約していたが、ホテルの都合で、なんと、ダブルの広い部屋が用意されていた。わたしは驚いたが、「もちろん、料金は(シングルで)変わらないわよ」と、彼女は笑った。

わたしは、部屋に荷物を置き、身支度を整えると、彼女に教えてもらったインターネット・カフェを探しに、暗くなりかけた町へ繰り出した。

パトラの様子 2

インターネット・カフェは、広場の近くにあると言う。お菓子屋さんのお姉さん、カフェバーのお兄さんなど、いろいろな人に場所を尋ねるも、とうとう、わからずじまいだった。気が付くと、いつの間にか、空は真っ暗になっていた。

明日は、朝一番のバスに乗らねばならない。この町を、もっと明るい時間にいろいろ歩き回れたら、面白そうだと思った。周辺はお店が立ち並び、栄えた場所であるものの、テサロニキのような大通りではないため、車や排気ガスはあまり気にしなくても良さそうだった。また、イタリアからの客が流れ込む玄関口であるからか、おしゃれな感じもあり、居心地良さそうな場所だった。

インターネット・カフェはあきらめ、歩いていると、人でにぎわっているパン屋さんを見つけた。威勢のいい、元気いっぱいの売り子に魅かれ、夕食・朝食用にパンを買うことにした。ガラスケースの前に立ったものの、どれを買うか迷っていると、笑顔がはじけるようなお姉さんに「これ、すっごく美味しいよ! わたし、これ、大好きなんだ!」と勧められ、わたしも思わず笑顔になって「じゃ、それ一つと…あっちの一つ!」と、速攻で注文が成立した(笑)。

さっそく食レポ

ホテルに帰り、さっそく、その日の夕食として買った、お惣菜パンを食べてみる。パン屋のお姉さんに勧められたパンは文句なく美味しかった。野菜とチーズのトッピングに、少し甘めのトマトソースが、ベースのパンと相性バッチリで、全体のバランスがとれた美味しいパンだった。これは、間違いなく日本人にウケる味である。

ちなみに、朝食として食べたもう一つのパンは、フランスパンのようなパンに野菜(トマトやオリーブの実など)とフェタチーズがはさまったお惣菜パンだった。驚いたのは、フェタチーズのしょっぱさ! かなりしょっぱい上に、大量に入っていた。塩分をだいぶ摂ってしまった!と思ったが、ギリシャの暑さは尋常ではないし、汗もたくさんかくから、しょっぱいフェタチーズは人気なのだろうか? それとも、保存のための塩分がそのまま残っているのだろうか? などと、思ったりした。

ホテルの部屋について

ホテル側の都合により、シングル料金でダブルの広い部屋に泊まれることになり、思いがけないサプライズ!だったのだが、浴室で大きなバスタブを見た瞬間、嬉しさは頂点に達し、思わずガッツポーズ!(笑)が出てしまった。ギリシャでは、とても貴重なのだ。

内装したてのような、ピカピカの新しい部屋に、新しく広いバスタブのあるシャワールーム、広い部屋にはデスクもあり、さらに頼めば、もう2人分ぐらいのベッドが余裕で置けるほど充分なスペースがあった。もちろん、冷房も問題なし…ここを、すぐ早朝に発たねばならないのが、本当に惜しかった。

つづく

冒頭写真:パトラの夕陽

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