バス停からスミス山までの道
なんとか、スミス山の近くまで来れたらしい。
ホッ!
下車したのは、特にこれと言って特徴のない、郊外の町だった。ちらほらと、お店や食堂がある。ここからは、しばらく遺跡まで歩かねばならない。
それにしても、バス停がよくわからない場所だった。帰りのバス停がどこにあるのかもわからないし、どこで帰りのバスのチケットを買うのかもわからない。尋ねようにも、周りにほとんど人がいないので、先に遺跡へ行くことにした。(もし、帰り、尋ねる人が誰もいなければ、食堂できいてみようと思った。)
茶色い遺跡案内の看板は、さっき、バスの運転手さんが教えてくれた道を指し示していた。バス道路から離れ、しばらく歩くと住宅地になった。
住宅地の中の歩道には、ハイビスカスの花のタイルが埋め込まれている。
なぜ、ハイビスカス?
ちょっと意外な気がした。この辺りの「町の花」だったりして・・・? 見まわすと、たしかに?!家々の庭にハイビスカスが咲いていた(笑)。
目指すのはアクロポリスだったが、歩くうちに、いくつか他の立て札も出てきた。その中の一つに、「Hellenic house」というのがあった。わたしは興味を覚え、もし近かったら、チラッと見てみようと思った。
看板の矢印の方向へ脇道を進むも、途中でわからなくなった。草の生えた空き地に車が停まっており、2,3匹の犬がいた。つながれておらず、飼い犬なのかわからない。もし、噛まれでもしたら、大変である。わたしは引き返した。
他にも、看板が出てきて行ってみたが、途中でわからなくなり、結局、寄り道はせず、アクロポリス一本で行くことにした。
バス道路を離れてから、人を見かけないので、道を尋ねることもできないのだった。
さらに歩いていくと、左手に草地が見えてきた。かなりの広さだ。木々も生い茂っている。
しばらく歩くも、草地は途切れることなく続き、どんどん人里から遠ざかっていくようで、一人、心細くなってきた。
本当にアクロポリスに行けるのかな・・・
不安がつのる中、観光客が来ないかと振り返ってみると、草地の中を、犬の散歩をさせている女性が一人、気持ち良さそうに歩いてきた。
人だ!!(笑)
そして、その女性のリラックスしている様子に安心した。
看板通りに進んでいるし、道は間違っていない・・・
気をとりなおし、さらに、しばらく歩くと石の塊が見えてきた。
ひょっとして、これは・・・?
さらに歩くと、木々の向こう側に石の建造物が見えてきた。人の姿も見える。
スミス山、アクロポリス到着
さらに近づくと、古代スタジアムが見え、人々がいるのが見えた。
やったぁぁー! 着いたぞぉぉー!
そして、高台に神殿の柱の一部がチラッと見えた。
アクロポリスだー!!
緊張が解け、思わず頬がゆるむ。神殿の柱を見て、こんなにホッとしたことはなかった。
まずは、古代スタジアムに向かう。入場料はなかった。フリーである。
現地の観光マップによると、紀元前3~2世紀ごろのものだそうだ。
こうして見ると、まっすぐな、美しい石のラインがよくわかる。
遺跡だが、遺跡という感じがしなかった。地元民の広場/公園という感じだ。近所の子供たちが自転車で来て、中で遊んでいたり、スタジアムの中をウォーキングする人たちもいる。2000年以上前の昔の遺跡だが、こんな風景を見ていると、現代の日常に溶け込んでいて違和感がない。
スタジアムの横には、大理石のオデウム(奏楽堂)があった。コンパクトで可愛らしい。
神殿は、オデウムの背後の高台に建っている。残念ながら、柱は鉄柵で囲まれていた。
この神殿の立つ高台から、オデウム、スタジアム、さらに遠くの海まで見渡すことができた。木々が生い茂る、広々とした草地も見渡すことができ、自分がここに至った経路も知ることができた。(冒頭の写真)
しばらく景色を楽しんだ後、まだ空は明るかったが、余裕をもって帰ることにした。いつのまにか、遺跡の訪問者も数えるほどに減っており、わたしには、最後の一人になる度胸はなかった。
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