◆膨大な展示の中から、個人的に惹かれたものを紹介します。””内は、博物館の説明をざっくり和訳しています。一部、ガラスの反射や暗くて不鮮明な画像があります。ご容赦下さいませ。
古代都市エピダウロス
さっそく、展示ボードの説明を見てみよう。
ドーリア人の都市:エピダウロスは、サロニコス湾に面した港と、周囲の肥沃な土地のおかげで、アルゴリスの重要な中心都市となりました。
紀元前4世紀以降、近くにある聖なる癒しの中心地:アスクレピオスの聖域の、ギリシャ全土にわたる評判が、この都市に華麗さと活気をもたらしました。
ニスィ半島のアクロポリスは、紀元前5世紀または紀元前4世紀に要塞化され、半島の首の部分(地峡部分)にはアゴラがありました。また、紀元前4世紀後半には「小さな」劇場が建設されました。
考古学的発見により、ヘラとアルテミスに捧げられた2つの聖域の存在が明らかになっていますが、パウサニアスによれば、アフロディーテ、アテナ、ディオニュソスに捧げられた聖域もあったそうです。内陸8km離れたアポロ・マレアタスとアスクレピオスの聖域を、都市の正式な聖域としました。これらの神々は、…市が発行した硬貨にも描かれました。
ローマ下のエピダウロスは、特にハドリアヌス帝がアスクレピオスの聖域を訪れた時期 (西暦124年) にあたる西暦2世紀に拡張され、繁栄しました。港湾施設の遺跡は、現在の港の南側にあります。豪華な供物が置かれた記念碑的な墓は、ローマの重要な一族が存在したことを示しています。
都市は、アスクレピオスの聖域と同じ運命をたどらなかったため、西暦3世紀、さらにそれ以降も存続しました。アスクレピオスの聖域の終焉は、新しい宗教と西暦6世紀の地震によってもたらされました。
ナフプリオン考古学博物館、展示ボードより (一部引用し、ざっくり和訳)
では、出土品を見てみよう。
”水浴する女性を描いた青銅鏡。紀元前3世紀後半から紀元前2世紀”
”戦闘場面を描いた青銅鏡、紀元前330年~紀元前320年頃”
とにかく、青銅鏡のデザインがおしゃれ。浮彫の凹凸の深さ、細かさに驚く、そして…
わぁ、お宝だ~!!
…と、まばゆい金貨に目を奪われ、思わず童心に…(笑)
古代エピダウロスで信仰されていた神々が描かれているのだろう。
以下、拡大写真。いろいろな図柄がある。
様々なポーズの女性像、紀元前3世紀~紀元前4世紀のもの。
“古代エピダウロスとアルカディコの墓地から出土したガラス器”
(上写真↑)左上段に、紀元前475年~紀元前425年のフェニキア製のガラス器や紀元前3世紀初頭のガラス器を含むも、それ以外は全て紀元後1世紀のローマ時代のものである。
上写真の拡大↓ ローマ時代のガラス器
古代集落アシニ(アスィニ)
今まで何度も名前が出てきたアシニ(アスィニ)の展示ボードを発見、さっそく読んでみよう。
アシニの集落は、アテネやキクラデス諸島、ペロポネソス半島南部と交流があった紀元前8世紀頃に繁栄しました。
パウサニアスによると、アシニは、スパルタとアルゴスの戦争で、スパルタ側についたため、紀元前700年頃、アルゴスによって破壊されました。
その後、集落は衰退しましたが、この地域で発掘されたアルカイック期と古典期の墓が証明するように、完全に放棄されることはありませんでした。アポロンに捧げられたアルカイック期の神殿が、バルボウナ(Barbouna)の丘に築かれました。ヘレニズム時代には、アシニはアルゴスに支配されていました。紀元前300年頃、海と陸、両方からの攻撃から港町を守るため、要塞が建設されました。東側の大要塞近くで発見された陶器の堆積物は、おそらく壁の耐久性を確保するために行われた建築儀礼と思われます。神々を讃えた小像や陶器の堆積物も、アクロポリスと下町の両方で、見つかっています。
アシニの多くの家には、雨水を貯める貯水槽がありました。
また、窯の支持具(窯の中で壺を積み重ねるのに使われていた)は、アシニに陶器工房があったことを示しています。お墓は、集落の中とバルボウナの丘の両方で発見されています。
ナフプリオン考古学博物館、展示ボードより (一部引用し、ざっくり和訳)
※こちらの展示ボードには、ギリシャ詩人:イオルゴス・セフェリスの詩「アシニの王」の一節が紹介されていました。(自分なりにネットで調べたところ)彼は「20世紀の最も偉大なギリシャ詩人の一人」と紹介されています。
以下、アシニ(アスィニ)の出土品(一部)。
”ヘレニズム時代の陶器、小像、小さな金属製品、紀元前4世紀~紀元前1世紀”
(上写真↑)右手前「何だろう?」と思うも… ”サンダルの鉄製の補強材(?)、女性が埋葬されていた石棺墓より出土、紀元前500年~紀元前475年” …だそうである。
その他
以下2点、黒像式(黒絵式)壺絵(部分)
古代ギリシャのおしゃれさん、見~つけた!(笑)
上写真の拡大↓
(上写真↑)白い絵具で描かれたアクセサリー:腕輪、ネックレス、ピアス…そして輝くティアラ…を身に着けた美しい女性。鏡の中の自分に”うっとり”…かな?(笑)
こちらは、管楽器を演奏する男性。
”白地技法で絵付けされたレキュトス、お墓参りの様子を描いた壺絵師「トリグリフ」の作品、紀元前420年~紀元前410年”
(上写真↑)レキュトスは、葬儀に使用されたオイル瓶。遠い目をした男性が描かれている。
こちらは、かわいらしい犬、カメ、鳩など、動物の小像 ↓
(上写真↑)同じ形の像が複数展示されていたので、型があるようだ。家畜を含む、身近な動物が像になっているのかな、と思ったが、ふと、そういえば、ネコの像を見た記憶がないな、と思い、意外な気がした。
つづく
冒頭写真:神々が描かれた金貨、ナフプリオン考古学博物館