◆膨大な展示の中から、個人的に惹かれたものを紹介します。””内は、博物館の説明をざっくり和訳しています。一部、ガラスの反射や暗くて不鮮明な画像があります。ご容赦下さいませ。
古代都市エルミオニ(Herminone)の出土品
古代墓地から出土した副葬品の数々を見てみよう。
”…戦士の墓より出土した兜、陶器、青銅器、紀元前520年~紀元前475年”
”…陶器、青銅器、ローマ時代のガラス製品、紀元前1025年~紀元後1世紀”
”ローブを着た女性像、紀元前350年頃”
(上写真↑)美しくも、凛とした立ち姿の女性像。
”カリアティード型の青銅鏡、紀元前490年~紀元前470年”
(上写真↑)しっかりとしたお顔立ちの女性像付き。衣のひだや指まで細かく表現されている。
※(自分なりにネットで調べたところ)古代都市エルミオニ(Herminone:ヘルミオネとも)は、現在のエルミオニ村辺り(ナフプリオンから南東へ30km以上下った岬の町)にあったという。恐らく、アルゴス人がミケーネとティリンスを征服した紀元前464年とほぼ同時期に、エルミオニもアルゴス人の支配下になったと見なされている。追放された人々の一部は、ティリンス人も定住していたハリアス(アリアス:Halieis)に避難したそうだ。
戦士の墓は、アルゴス人と戦った戦士の墓かもしれない。
古代都市ハリアス/アリアス(Halieis)
展示ボードによると…
紀元前700年~紀元前680年頃、ポルトチェリの湾の南側に誕生した古代都市ハリアス(アリアス)は、紀元前6世紀から紀元前4世紀にかけて繁栄しました。紀元前460年頃、ティリンスから追放された人々が、都市の人口に加わりました。
ペロポネソス戦争前、そして戦争中、アテネとスパルタは、この都市のアクロポリスを占領し、アルゴリコス湾への入口を見渡せる、戦略的な場所を利用しました。円形の塔と四角い塔で区切られた城壁には、5つの主要な門がありました。
アクロポリスの野外の聖域は、アテナ・ポリアスに捧げられたものと推測されています。一方、都市の聖域は、城壁の外側にあるアポロンのもので、2つの神殿と競技場が含まれていました。
人口約2500人と推定されるこの都市は、中央の大通りに対して垂直に伸びる街路が規則的に計画されたものであり、排水システムがしっかりと整備されていました。民家には、いずれも中央に中庭があり、そこからさまざまな部屋につながっていました。そして、どの家にも井戸から引いた水が供給されていました。
織物とオリーブ油の生産は、この都市の重要な経済活動だったに違いありません。古代都市ハリアス(アリアス)は紀元前4世紀初頭に、ティリンス人移住者の名前で独自の貨幣を鋳造しました。
それから、紀元前300年を過ぎてまもなく、都市は放棄されました。
ナフプリオン考古学博物館、展示ボードより (一部引用し、ざっくり和訳)
※(自分なりにネットで調べたところ)古代都市ハリアス(アリアス)は、古代都市エルミオニより10kmほど南西に下ったところだそうだ。
”古代都市ハリアス(アリアス)からの出土品、紀元前10世紀~紀元前4世紀”
気になるのは、大きな貝↓ 住居跡より見つかったそうである。紀元前4世紀のもの。
古代都市ハリアス(アリアス)の墓地について ↓
古代都市ハリアス(アリアス)の墓地は、都市から南東に約700メートルほど離れた、古代の道路沿いにあります。墓地全体の大きさはわかっていません。
発掘されたのは、3つの区画のみで、質素な土穴、箱式石棺、石棺、いくつかの大型甕棺墓(かめかんぼ)に埋葬された66体と、火葬用の薪の山1つが発見されました。最も古い埋葬は紀元前7世紀末、最も新しいものは紀元前4世紀に行われたものでした。
お墓は、列をなして並べられたもの、グループごとに密集したもの、孤立して設置されたものがありました。死者への供物、主に陶器の容器に関しては、通常、お墓の外、またはお墓の上に置かれ、お墓の中に納められることは稀(まれ)でした。
また、注目すべき特徴として、墓地で、直接、死者のために食事の準備や調理を行っていた証拠:炉床、2つの供物台、大きな調理鍋、いくつかの動物の骨、が墓地近くで、発見されました。
ナフプリオン考古学博物館、展示ボードより (一部引用し、ざっくり和訳)
”古代都市ハリアス(アリアス)からの出土品、紀元前600年~紀元前330年”
(上写真↑)いくつか詳細を見てみると…左:青銅鏡、紀元前450年頃、手前:テラコッタ製の鳩、紀元前470年~紀元前460年頃、鳩の右斜め後ろ:香油壺(アリュバロス)、紀元前575年~紀元前550年、アリュバロスの右斜め後ろ:イルカと魚たちが描かれたキュリクス、紀元前575年~紀元前570年、右手前:テラコッタ製の牡羊、紀元前575年~紀元前550年
つづく
冒頭写真:古代都市エルミオニの出土品、ナフプリオン考古学博物館