豊かな緑
水をたたえた田んぼを走り抜けた後、緑の畑が続き、やがて遠くに青くかすんだ山々が見えてきた。
バスはどこまでも続いていくような平野の中、まっすぐ走り続ける。
しばらくすると、白っぽい塊が遠くの方に見えてきて、なんだろうと目を凝らしてみると、それらがびっしりと、すきまなく寄り集まった家々だということがわかった。それが遠くからだと、緑の中に白い帯状に連なって見えるのである。
そういった町の中の一つが乗り換えの町、ヴェリアなのだろうと思った。バスは、どんどんそれらの町へ近づいていき、最初は、まばらにしか見えていなかった家々の数も、瞬く間にどっと増えていき、すぐに完全な町中の景色へと車窓は変わっていった。
ミニチュアの白い町は、いまや等身大となり、商店やカフェ、マンション、公園、教会・・・などの人々の生活感あふれるリアルな町となっていた。
そして、しばらく走った後、とうとうバスはスピードを落とし、無事、ヴェリアのバスターミナルへ到着したのだった。
ヴェリア到着
いったん、ここヴェリアでバスを降り、今度はヴェルギナ行のバスに乗り換えるのだが、1時間ほど空きができてしまった。しかし、幸いなことに、バスターミナルは町中にあり、その気になれば、休憩も兼ね、ゆっくりと町の雰囲気を楽しむ時間はありそうだった。
町中をぶらぶら歩きまわるのも良いし、近くにあるカフェで気分転換するのも良いが、わたしはガイドブックに載っていた「キリストの使徒パウロのベマ(説教台)」が気になっていた。ガイドブックによると「キリスト教の迫害からヴェリアに逃れた際、彼が説教した時のベマが中央広場にある」とのこと。わたしはキリスト教信者ではないが、なぜか心惹かれるものがあった。
まぼろしのベマ
そこで、バスのチケット売り場の若い男性にベマの行き方を尋ねてみた。すると「この町に泊まっているのかい?」と最初にきかれた。「泊まってはいないが、バスを待つ間、1時間ほど自由な時間ができたのだ」と答えると「うーん、だったら、行くのは難しいかも・・・」と彼は口ごもっていたが、とりあえず、説明をしてくれた。
わたしは「中央広場」という響きから、さほど難しいことはないだろうと思っていた。彼の説明を聞きながらも、何とかたどり着けるだろうと思っていたが、案の定、途中で道がわからなくなり、通りの女性に道を尋ねてみたが、まったく要領を得なかった。
やはり、彼の言う通りだったのだ。このまま、ベマを探し続けることもできたが、初めての場所で迷子になり、バスに乗り遅れることは避けたい。そうこうしている間に、1時間などあっという間に過ぎてしまう気がした。
そこで、ベマ探しはキッパリあきらめ、町の散策に切り替えることにした。
ヴェリアの町散策
大きくはないが、シンプルで落ち着いた感じの教会。教会にはいろいろな外観があり、興味深い。
お菓子屋さん。「ギリシャの伝統菓子があれば欲しい」と尋ねてみたが、英語は通じず。ばら売りのチョコ菓子を3つ、適当に買ってみた。味は・・・まあまあ(笑)。
教会の外にある柱廊の、美しい天井画。
乾物屋さん。おしゃれなディスプレイ。
おもちゃ屋さん。ギリシャでもキティちゃんは大人気。
冒頭写真:ヴェリア、シロツメクサの庭