シミ、一番の見どころ
2番目の寄港地シミを目指して、船はパノルミティスを出港した。わたしは絶景を楽しもうと船の屋上デッキに上がってみた。
日射しが強かったが、解放感があって、気持ち良い。
いくつか崖を通り過ぎたあと、ふもとに2,3の建物が見えてきた。
小さな集落かな?
そう思っていると、予想に反し、険しい崖にびっしりとはりついた家々が見えてきた。
わぁ!
パステル調の小さな家々が、寄り集まっている。
夢中で写真を撮った。
写真を撮るうちに、ここが終点のシミなのだとわかった。
到着、メルヘンの町
船はゆっくりと湾に入り、無事、シミに到着した。
船のロープが渡され、係留の作業に入る。
みんな、下船はゆっくりになる。ここが終点というのもあるが、景色に見とれてしまうからだ。
「上陸してから」というよりも、「海からの眺め」にみな圧倒されてしまうのである。船のデッキから見る、突然現れる家群の迫力や、色のマジック(色とりどりの家々と海のきらめく青さ)は「一番の見どころ」と言っても過言ではないだろう。
港はΠ(パイ)の字型に広がり、美しい小舟やクルーザー、大型船が停泊している。
先ほどは、ドールハウスのように見えた家々も、ここまで来れば等身大。ちゃんと人間が住んでおり、ここにも生活があるんだ、と実感する。
青緑色の澄んだ海水。
美しい!
高所恐怖症
海沿いを散策していると、急(きゅう)すぎる崖に梯子(はしご)のように垂直にはりついた、真っ白な階段が、上方の教会へ続いているのが見えた。景色も良さそうだし、行ってみたい気もしたが、もちろん・・・
ムリッ!!
(日本のように)手すりもないし、踊り場もない。
見ているだけで、めまいがしてくる。
自分が実は高所恐怖症であることは、このような形で突然、外国で気づかされた。日本では、(柵、手すり、踊り場、注意書きなどに)大切に守られ、保護されてきたからだった。
リンドスの船
さらに、散策を続けると・・・
おや?
国旗が飾られ、何かモニュメントがある。近づいてよく見ると、リンドスのアクロポリスへ行く途中で見た、船のモニュメントそっくりなものが、岩に掘ってあった。(コンクリートかもしれない)
その横にある碑文は、ギリシャ語のみで書かれており、何が書いてあるのかさっぱりわからない。しかし、日付から戦争の慰霊碑のようなものではないかと思った。脇に平和の象徴、羽ばたく鳩の像が建立されている。
ランチ
そろそろランチにしようと思った。道々、レストランの呼び込みに気が引かれもしたが、すぐ近くの店に入った。この辺りまで歩いてくる客は少なかったのか、店内はわたしを含めわずか2組の客。
迷わず、シミ・シュリンプを注文する。白ワインとパン、そしてザジキを追加。エビは小ぶりなので食べやすかった。殻ごと頂き栄養も補給(笑)。良いお味だった。
シミ島 シミ・シュリンプ
エビを食べていると猫が来た。黒い猫は若くて元気いいが、茶色の猫は高齢でやつれている。ずっと待っているので、たまらずエビを投げてやる。
店員が猫に気づいて追い払うも、しばらくすると猫は戻ってきて、じーっと待っている。誰にも気づかれないように、エビを投げてやる。
時間はたっぷりあった。店員にさっきの船の彫刻のことを尋ねてみたが、「知らない」とのことだった。まあ、そんなものかもしれない。
ゆーっくりランチを楽しんだ後、再び、散策を開始することにした。