いざ、レストラン”Ippokampos”へ
ホテルのおじさんにすすめられたレストランは、どれもヴェネツィア時代の要塞へ延びる道の、手前に固まっている。おじさんが印を付けてくれた観光マップを握りしめ、歩き出す。
街中の、ほぼ全ての”通り”には名前が付けられており、建物の壁にその名前が貼られている。だから、街歩きには、ホテルでもらった”通り”の名前が詳しく書き込まれた地図が、役に立つ。初めての、見知らぬ土地でも歩けるという便利なシステムである。
地図上で見れば、博物館から目的地まで直線でつないで、1キロもない。最短距離の道をたどりながら、順調に歩を進めてきたが、突如としてそれは止まった。
ハプニング!
それは、車がやっと一台通れるほどの狭い道だった。工事中の家があり、木立の生い茂る場所であった。
大きな車が走ってきたので、とっさに、わたしは身を寄せた。
こんな狭い道を、よく走ってくるなぁ
と、思わず心の中でつぶやいた矢先・・・
ガーッ!
音がして、車は突然止まった。
身を乗り出して見てみると、道路すれすれに立っている柱のようなものに、車が引っかかっている。
うわ!
運転手はあせっている。柱をやり過ごそうとするが、うまくいかない。
ま、何とかなるでしょう!
わたしは先へ進むべく、どうにかその場所を通り抜けようとしたが、車の幅は道幅にぴったりはまり込んでいて、人が通れるようなすき間はまったく見つからなかった。
困ったな・・・
そうしている間にも、後続車が来て、クラクションが鳴り始めた。
仕方がないので、来た道を引き返し、別の道を探そうと思ったが、後戻りするための退路も完全に断たれていた!!
ウソだよねぇ・・・
要するに、工事中の家のスペースに身を寄せて、車をよけたのは良かったが、そのまま車にぴたっと道をふさがれて、そこから前進することも後退することもできなくなっていたのだ。
ガァーン!
なすすべはない。途方に暮れる・・・。
こんなことって、ある・・・!?(あるんです!)
もう、笑うしかない!
後続車のお兄さんと目が合い、「やられたー!」と笑い合う。わたしは、両手のひらを上に向け、西洋風に両肩をすくめ、おどけてみせた。
幸いなことに、そこは木が密集して茂っており、木陰ができて涼しかった。裏道ということもあり、ひっそりしている。
まだ時間はあるし、ちょっと休むか・・・(今日は、朝から動き回っていたしなぁ・・・)
そんな調子で、天から降ってきた休憩タイムと勝手に称し、深呼吸などをしてゆっくりしているうちに、どうにか車は動き出し、しばらしくて、わたしも無事、閉ざされた空間から解放されたのであった。
”Ippokampos”到着
ちょっとしたハプニングもあったが、無事、博物館からヴェネツィア時代の要塞の近くまでたどり着いた。早朝とは違い、オールド・ハーバーの鮮やかなブルーが目に染みる。
とりあえず、ガイドブックに載っていた「リゴクラシ・リゴタラサ」というレストランは、すぐに見つかった。ホテルのおじさんの言う通り、欧米のツアー客たちでテーブルは見事なまでにびっしり埋まっている。
ここから”Ippokampos”を見つけるのに、少し手間取った。というのも、おじさんが地図に付けてくれた丸印がおおざっぱだったからで、見つけてみれば何という事はない。「リゴクラシ・リゴタラサ」から、歩いて1分くらいの、海沿いの道にある。(「リゴクラシ・リゴタラサ」は海沿いから少し引っ込んだ場所にあり、わたしは海沿いから一本内陸側に入った道沿いを探していたのだ。)
あ!ここだー!!
想像していたより、こじんまりとして、素朴な感じの店構えだった。お客さんは地元民が大半を占めているようで、
これはいいぞ!
と、内心、ホクホクした。やっとのことで店を見つけた喜びも、大きかった。
”Ippokampos”の屋外席
店舗自体は、海沿いの道の内陸側に建っているが、道を挟んで海側に屋外席が用意されていた。おそらく季節限定で設けられているのだろう。(訪れたのは5月19日)
雰囲気に惹かれて、海側の席へ行ってみたが、良い席はすでに人々で埋まっており、空いているのは道路からすぐの席で、排気ガスやほこりが気になり、断念。内陸側の店内で食事をすることに決めた。
この海沿いの道は、それほど大きな道路ではないが、それにしては車の走行頻度は低くない。道路が曲がっているので、いきなり車が飛び出してくる感覚がする。付近には横断歩道もないので、内陸側の店舗に道を渡るのがけっこう怖かった。
しかし、お店のおかみさんや、ウェイターさんは、注文をとったり、料理を運んだりの大忙しで、頻繁に道路の横断をこなしており、わたしは驚いた。いちいち、見えない道路の先から車が来ないか、などと、首をのばして立ち止まったりはしない。慣れなのか、それとも長年続けているうちに感覚が鋭くなり、いちいち立ち止まる必要もなくなったのだろうか?
オーダー&食リポ
初めての店で何を注文するのかは、一番悩むところだ。日本のようにメニューに写真があるわけではない。おすすめを尋ねてもいいし、周りの人と同じものを頼んでもいい。
わたしは、周りの人々が頼んでいた焼きイカを注文し、追加でビールとパンとトマトサラダを頼んだ。
日本の感覚で注文をしてしまったが、まず、運ばれてきたパンに驚き! 1エブロ(ユーロ)でこれである! 種類も豊富!(写真は少し食べてしまいました)
そして、美味しかったのが「パテ」(笑)!! 特に、薄茶色のものが、美味しくて美味しくて止まらなくなった。もう、無限にパンが食べられる感じである。あやうくパンでお腹がいっぱいになるところであった!(まだメインが来ていないのにー!)
メインの焼きイカ!こんがり焼きたて、おいしかった!
巨大トマトサラダ! トマト大2個分はあるだろう。きゅうりも1本分は盛ってある。
美味しかったが、とにかく、量が多かった。これは間違いなく、2人分以上だろう。サラダに関しては3~4人分かな(汗) やはり、海外での外食においては、注文時に量を確認し、場合によっては量を減らしてもらうよう(ハーフサイズなどに)お願いすべきなんだな、と今さらながら思うのであった。
しかしながら、すばらしいレストランの一つであることには間違いがない。ブログを書くにあたって、改めてグーグル検索をしてみたが、評価は高く、料理の投稿写真も豊富でどれも美味しそうであった。スマホが使えれば、写真を指さして注文もできるかもしれない。ホテルのおじさんに”感謝”である。
レストラン”Ippokampos”の詳細はこちらです。(グーグルマップ付)