再び、ヴェリアのバスターミナル
1時間の町散策は、ちょうど良い気分転換になった。少し早かったが、余裕をもってバスターミナルに戻ってみると、閑散としていた待合所は、大勢の人々であふれかえっていた。1時間前、ここに来た時の何倍にも、バスを待つ人々の数はふくれ上がっていた。チケットを早めに買えてよかったと思う。
わたしは、先程、ベマ(キリスト教の使徒パウロの説教台)への道順を尋ねた、バスターミナルのお兄さんに見つからないように、少し離れた場所に立っていた。というのも、道を教えてもらったのに、たどり着けなかったなんて、実はとても決まりが悪かったからだ。
しかし、おそらく、わたし(外国人)に道順を教えた彼も、あの後どうなったか、非常に気になっていたのだろう。しばらくすると、バチっと目が合ってしまい、明らかに彼は意図をもってこちらに近づいてきた。
(ああ・・・)
ベマは見つかった?
案の定、彼はそう尋ねてきた。わたしは、道に迷ってたどり着けなかったことを正直に告げ、申し訳ない・・・と言うと、彼はうなづき、OKと言ってくれた。
ヴェリア出発
しばらくすると、バスが1台入ってきた。いっせいに、人々がバスの周りに群がった。チケットに印字された出発時刻を何度も確認し、これはヴェルギナ行のバスに違いないと思った。わたしも、群がる人々に加わったが、念のため、バスの正面に(通常)表示されている、行き先を確認しようとしたが、何も書いていなかった。
そこで、周りにはたくさんの人々が集まっていたので・・・
このバスはヴェルギナに行きますかぁーーー?
と、つたないカタカナ・ギリシャ語で彼らに大声で尋ねてみたが・・・
(シーン・・・)
誰からも返事がなかった(笑)。
こんな展開は予想していなかっただけに、寒々とした気持ちになったが・・・発音がダメだったのだろう。
しかし、2テンポほど遅れて、人ごみの向こうの方から・・・
わたしも(このバスで)ヴェルギナに行くわよーー!!
と、英語で叫んでくれた女の人がいた!!(笑)
こうして、彼女のおかげで、わたしは無事、ヴェリアを出発することができたのだった。
ヴェルギナ行バスの中で
正直、バスの周りに集まっていた人々、全員がバスに乗れるのだろうかと思っていたが、なんとか、みんなバスに乗れたようだった。わたしは、流れに身をまかせ、バスの通路側の席に落ち着くことができた。おそらく、満席だったのではないかと思う。先ほどの、英語で答えてくれた女性は、数列前に座っていた。
ヴェリアからヴェルギナまで、バスで20分ほどである。しばらくして、彼女が席を立ったので、わたしはヴェルギナに着いたと思い、バスを降りようとしたが、周りの人々に「ちがう、ちがう」と、すごい勢いで引き留められた。
わたしは、周りの人々に感謝するとともに、彼らがわたしのヴェルギナ行きを知っていたのに驚いた。・・・とすると、さっきのギリシャ語は通じていたのだろうか?
今思えば、なんとなく、通じていたのかもしれないが、もしかしたら、彼らは英語が話せなかったので、返事をしなかっただけかもしれない。何人もの人が、顔の表情と身振り、そしてわたしに手をかけてくれ、「ここはちがう」と教えてくれたのだった。
そして、そこから、1つか、2つ先の停留所で、彼らは親切にも、ヴェルギナに着いたことを教えてくれ、わたしは、先ほどの、英語を話す彼女と一緒にバスを降り、無事ヴェルギナにたどり着くことができたのだった。
冒頭写真:ヴェリアの街角