日本からアテネへ
とうとう旅立つ時が来た。成田21：20発、アブダビを経由し、アテネには翌日の12：45着、エティハド航空を利用する。成田ーアブダビ間の時差は５時間、アブダビーアテネ間の時差は１時間である。
ゴールデンウィーク後のため空いていた機内も、アブダビからは満席となる。男性が「娘の隣に座りたいから席を交換してくれないか」と言う。応じるも移った先の隣の男性は落ち着きがない。飛行機が苦手なのか･･･？早くアテネに到着しないかなと思う。
アテネに着いたら、直接ピレウス港へ向かう。地下鉄で行くことも考えたが、地下鉄はスリの被害が多いという。それならば･･･とピレウス港へはバスで向かうことに決めた。
空港からピレウス港へ
アテネに到着。入国手続きを済ませ、まっすぐバス乗り場へ。
看板通り空港の外に出るとすぐ目の前がバス停だった。右横にチケット売り場がある。ちょうどバスが停まっていたのでチケットを買って飛び乗る。
空席を探すもすでに満席だったが、このままピレウスへ直行してしまおうと思う。立っている人は少ない。
青年が一人立っており、日本語で話しかけようと思ったが、携帯で中国語を話していた。彼は旅行者ではなさそうだ。そういえば、ピレウス港は今や中国の手に握られていることを思い出す。
背中のバックパックが重くなってきた。わたしは彼に荷物置き場のスペースを少し詰めてもらえないかと尋ね、バックパックを置かせてもらった。
バスは埃っぽい乾燥した道を走り、古びた家や店を通り過ぎ、海沿いへと出た。しばらくして中国人の彼はバスを降りて行った。
かなり時間がたった頃、外はにぎやかな街となり終点が近いとわかる。水兵さん？（セーラー服を来た若い男性）をはじめ次々と人が降りていく。
バスの運転手さんにフェリー乗り場の方角をきき、バスを降りる。しばらく行くとブルースターフェリーの大きな看板と港の大きな船が複数、そしてブルースターフェリーそのものの大きな船体が見えてきた。
ああ、間違いなくピレウス港に来たんだ！ 感動の余韻にしばし浸る。
明日のミコノス島への移動はフェリーであり、船のチケット予約はすでに日本で済ませてある。予約チケットの受取は明日（乗船当日）することになっていたが、下見をかねて確認しようとゲートをくぐった。
停泊中のブルースターフェリーの横に小さなチケット売り場がある。ブースのおじさんに明日の乗り場（ゲート）を確認する。明日この場所に来なさいとのこと。確認書を見せるとその場でチケットを発券してくれた。
ホテルのチェックイン
次はホテルのチェックインだ。ホテルは少し離れている。スマホを持っていないわたしは近くのパン屋さんでお惣菜パンを買ったついでに、乗るべきバスの番号を教えてもらった。しかし、初めての場所で公共バスを乗りこなすのはかなりハードルが高い。それにすれ違うバスはどれも乗客で混んでおり、スリにあうかもしれないと思う。
散歩がてら歩いていくことに決める。方向はわかりやすく目印になるポイントもいくつかあるし、各通りには名前がついている。日はまだ高いし周りに人もいる。
途中大きな教会によったり道草をしながらも、無事チェックイン。ホテルは大きな通りから細い路地に入った所にひっそりとある。新しそうな外観であるが地味である。看板がなければホテルとはわかりにくい。
チェックインの順番を待つ間、ティーンネイジャーくらいの女の子がホテルの女性係員に「お名前は○○でしたよね？じゃあ、ちょっと出かけてきます。○○、またあとで～！」と声をかけている。女性係員が「行ってらっしゃ～い！」と笑顔で送り出していた。いい雰囲気のホテルだなと思う。
わたしの対応をしてくれた人は高校の社会の担任の先生に似ており、最初から少し面白かった。彼の名はペリクレスという。どこかで聞いた名前だ･･･と思うも思い出せず。彼は手続きをしながらも、ちょこちょこ何気ない質問をしてきた。おかげでこちらが少しでもわからないことがあれば、すぐに尋ねられる気軽であたたかな雰囲気になった。
このホテルはフェリー乗り場まで無料送迎サービスがあるので、翌朝ロビーの集合時間を教えてもらう。チケット会社からは出航時間の１時間前には乗り場へ来るようにと指示があったが、ロビーの集合時間はそれを１５分ほど切っていた。念のため確認すると（よく欧米人がオゥ、カモーン！と言うような感じとしぐさで）「大丈夫だよ！我々に任せなさい。ちゃんと送り届けるから！」とペリクレスは笑った。
部屋も新しくきれい。バスタブがついていた。重い荷物を置き、散策用に身支度を整える。
ゼア港散策
ホテルから歩いてすぐゼア港がある。先ほどのピレウス港とは打って変わり、落ち着いた雰囲気だ。小さな湾には小ぶりの美しいクルーザーがずらりと並び水面は穏やかである。港に面した通り沿いにカフェやアイスクリーム屋などが連なり、湾沿いには白いパラソルにテーブルとイスが続いている。
ゼア港 スーパーからの眺めここで休憩しようと思う。と、フローズン・ヨーグルトの文字が目に飛び込んできた。
そう、ここはギリシャ！ギリシャ・ヨーグルトを食べよう！
しかし残念ながら売切れであった。アイスクリームを注文し屋外の席に座る。お店のお姉さんは隣の店から水を持ってきてくれた。少し旅の話ができ「いい旅になるといいわね」と彼女は気持ち良く送り出してくれた。
ギリシャ初日であったが、あたたかい気持ちになり、早くも旅はとんでもなく素晴らしいものになる予感がした。
それからスーパーでの買い物。教えてもらったスーパーは大きな店。ヨーグルトを探すも見つからず。日本の感覚だと1階のイメージだが、なんとヨーグルトは2階にあった。そして3階のエスカレーターの大きな窓ガラスからゼア港がよく見えた。写真を撮った。その他に水やオリーブの実なども購入。
外はまだ明るいのでゼア港のクルーザーの周りを歩いてみた。湾沿いの白いパラソルの下でたくさんの欧米人がお茶をしている。
一度ホテルへ荷を置き、今度はホテル周辺を歩いてみる。ショッピングモールも近く、洋服屋、靴屋、薬局、化粧品店、アーティストの工房？、カフェ、バー、タベルナ（食堂）、オフィス･･･いろいろと並ぶ。きれいで落ち着いた良いところにホテルがあって良かったと思う。バーやタベルナが並ぶおしゃれな通りを夜のぞいてみたいとも思ったが、朝一のフェリーなため早めに床につくことにする。
ペリクレス
ふと何かの拍子にペリクレスが紀元前5世紀の有名な政治家だったのを思い出した。
ペリクレス紀元前5世紀アテネは全盛期を迎える。ペリクレスなしにそれはありえなかったかもしれない。ツキジデスの「歴史」にも彼のすばらしい名演説が残っている。当時アテネは他の都市国家とデロス同盟を結び団結して敵との戦いに臨んでいた。しかし戦争に勝利した後アテネは同盟国家の共同資金を自らの繁栄のために使ってしまう。建築物最高傑作のパルテノン神殿はそうしてペリクレスによって建てられた。
そうだ！ペリクレスだ！古代の政治家と同じ名前なんだ！
わたしは翌朝ロビーでさっそくペリクレスに話さなくては！と思い眠りについた。
わたしがピレウスで宿泊したホテルはこちらをご覧ください。
