カミロス遺跡から空港へ
12時過ぎ、ほぼ時間通りにバスが来た。
もしや、行きと同じ運転手さんではないか・・・?
そう思ったが、淡い期待は打ち砕かれた。残念ながら、行きのバスに置き忘れてしまったお気に入りの”ペットボトル入れ”はあきらめるしかなかった。
あーあ・・・(涙)
そして、運転手さんの後ろに着席。肩の荷を下ろすと、まるで自分の体が羽のように軽くなった。それもそのはず、今の今まで重い荷物を背負ったまま、炎天下の遺跡を2時間、夢中で歩きまわっていたのだから。
こうしてロードス島、最後の旅は無事に終わった。あとは、バスに身をまかせ、空港で降りるだけだ。
こみ上げてくる充足感にひたりながら、後方に過ぎ去っていく景色をボーっと眺める。そして、”そうだ、帰国したら・・・MoschoのSさんにハガキを書いてみよう・・・”、そう思った。
バス車内の禁止事項。帰りのバスで撮影。興味深い。
こちらの注意喚起には、少しドキリとしたが(笑/汗)、毎回、運転手さんには口頭で目的地を告げ、降ろしてもらっており、そのやり方で怒られたことはない。
空港到着
しばらくして、無事、空港へ到着。空港の名前は「ディアゴラス」。ガイドブックによると、ディアゴラスとは、古代オリンピックで2度、ボクシングで優勝したロードスの英雄である。息子2人が父を肩にかつぎ、観衆の間を練り歩いたという。その銅像がロードスタウンにあるそうだ。(残念ながら、この旅では見ることができなかった)
さて、空港の中へ入るも、ガラーンとして人の姿はほぼなかった。静かである。出発まで時間はたっぷりあるので休憩も兼ね、ゆっくり過ごすことにした。
昼食には、空港内の「エベレスト」というパン屋で、野菜がたくさん挟まったサンドパン(?)を買った。
搭乗ロビーに移ると、大きな窓からヤシの木と滑走路が見えた。ヤシの葉が風にそよぎ、そのずっと向こうには海が見えた。
感謝
あー、これでエーゲ海の島々とはお別れなんだなぁ・・・
飛行機を降りたら、そこはアテネにつぐギリシャ第2の都市、テサロニキ。そこから、いよいよギリシャ本土の旅が始まるのだ。ワクワクしないわけがない。しかし、ここに来て何とも言えない気持ちになった。
ミコノス、ディロス(デロス)、サントリーニ、クレタ、そしてロードスとシミ。
あまりに素晴らしい日々だった。
あっという間だったなぁ・・・
後ろ髪を引かれる思いで心は揺れる。しかし、別れの時は近づいていた。
「すばらしい日々をありがとう!!」
気持ちを切り替え、搭乗口へ。
エーゲ海の上空から
「ロードス島15:40発 ― テサロニキ16:45着(予定)」約1時間のフライトである。ラッキーなことに、飛行機の座席は窓側だった。時間通りロードス島を離陸。
重力に逆らい、ぐんぐん上昇していく飛行機の中で、体を座席に圧しつけられながらも、離れていくロードスを目で追った。そして上昇した後の一瞬で、ロードスの最後の写真を収めた。(冒頭写真)
ロードス島からテサロニキへは、エーゲ海をはじからはじへ斜めに突っ切る感じになるのだろう。いろいろな島が眼下に見え、その度にシャッターを切った。
いつの間にか、大きな陸地の上を飛んでいる。畑のパッチワークが広がり、山々をぬけ、町をぬけ、大きな海辺の工業地帯やビル群をぬけ、飛行機は目的地にたどり着くのだ。
鍛えられた表情筋(ひとりごと)
フライトもそろそろ終盤に近づき、飲み物のコップを客室乗務員が回収しに来た。コップを渡そうと手を伸ばしかけたその時、今までずーっと下を向いて一心不乱にスマートフォンをいじっていた隣の若い男性が、パッと顔を上げ、わたしのコップを客室乗務員に手渡してくれた。
思いがけない親切に・・・
サンキュー!!(笑)
と、お礼を言うと・・・
パチン☆彡
なんとウィンク(!!)が返ってきた。
口元半分に微笑みを浮かべている。
予期せぬことで面食らったが、バッチリ決まっていた!! 外国に来ると、思いがけない感情表現の豊かさ(顔の表情やしぐさなど)に、しばしば出会い驚かされる。
わたしなどは、ウィンク一つとっても、変に力が入り、顔が引きつってしまう。さらに唇の片はしをあげて微笑むなど・・・お手上げである。一体自分がどんな顔をしているのか、分からなくなってしまう(笑)。
しかしながら・・・
(同じ人間なのに)どうしてこうも違うのだろう?!
と思わずにはいられない。
例えば・・・古代から地中海(エーゲ海)周辺では異国間交流が盛んであったし、また、争いも多かった。連合軍などが組まれる中、ひょっとしたら、異なる言語を話す者同士、顔の表情やジェスチャーによるコミュニケーション術が発達して、それが今に至る・・・なんてことがあったりするのだろうか?!(笑)
・・・そんなことを想像しながら、残り少なくなったフライトの時間を過ごした。